ジャン＝ルイ・ポン

ジャン＝ルイ・ポン（Jean-Louis Pons, 1761年12月24日 – 1831年10月14日）は、フランス出身の天文学者であり、彗星観測において非常に顕著な業績を残しました。彼は1801年から1827年の間に、驚くべきことに37個もの彗星を発見し、これは個人による彗星発見数としては史上最多という記録です。彼の姓は「ポンス」とも表記されることがあります。

生涯

ポンはフランスのオート＝アルプ県ペイルという小さな村で生まれました。貧しい家庭環境に育ちましたが、独学で天文学を学びました。1789年にはマルセイユ天文台に職を得て、天文学者としてのキャリアをスタートさせました。その後、1819年にはイタリアのルッカ近郊に新設された天文台の所長に任命され、1825年にはフィレンツェのスペコーラ博物館付属天文台へと移りました。

1818年には、一年間に3個の彗星を発見した功績が認められ、フランス科学アカデミーからラランド賞を授与されました。しかし、1827年頃から視力が徐々に衰え始め、1831年に引退。その直後、フィレンツェで生涯を閉じました。彼が残した観測記録や資料は、現在フィレンツェのガリレオ博物館に保管されています。

発見した彗星

ポンは生涯で5個の周期彗星を発見しました。そのうち、彼の名前が冠されているものは以下の3つです。

7P/ポンス・ヴィネッケ彗星: この彗星は、ポンが発見した周期彗星の一つです。
12P/ポンス・ブルックス彗星: こちらもポンが発見した有名な周期彗星です。
* 273P/ポンス・ガンバール彗星: 1827年にポンが発見したものの、その後行方不明になっていた彗星で、2012年に再発見されました。再発見前から、この名前で知られていました。

また、ポンが発見したにもかかわらず、彼の名前が冠されていない周期彗星も存在します。例えば、1818年11月26日に発見された2P/エンケ彗星です。この彗星は、最初の発見者はピエール・メシャン（1786年1月17日）であり、ポンの発見は再発見にあたります。しかし、ヨハン・フランツ・エンケがこの彗星の軌道を詳細に計算し、その結果、多くの発見が同一の周期彗星によるものであることを示しました。そのため、この彗星にはエンケの名前が付けられました。

さらに、ポンは1818年に27P/クロンメリン彗星も発見しており、当初は「ポン彗星」と呼ばれていました。その後、1929年にアンドリュー・クロンメリンが軌道を計算した結果、1873年のコッジャ・ヴィネッケ彗星、1928年のフォーブズ彗星と同一の彗星であることが判明し、「ポン・コッジャ・ヴィネッケ・フォーブズ彗星」と命名されました。しかし、1948年に最終的に「クロンメリン彗星」と改名されました。

このように、ジャン＝ルイ・ポンは多くの彗星を発見し、天文学の発展に大きく貢献しました。彼の記録と発見は、現在も天文学者たちにとって貴重な資料となっています。

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