ジャージーの旗

ジャージーの旗：歴史と象徴

ジャージーの旗は、イギリス王室の属領であるジャージーで1979年6月12日に制定され、1980年12月10日にイギリス女王によって布告されました。そして、1981年4月1日に公式に掲揚されるようになりました。

デザイン

旗のデザインは、白地の旗に四隅まで届く赤い斜め十字（サルタイアー）が配されています。斜め十字で区切られる上方の4分の1の区画には、ジャージーの紋章が描かれています。紋章は、赤い盾の中にノルマンディー公の黄色いヒョウ3匹が描かれ、その上にプランタジネット朝の黄色い王冠が載せられています。

沿革

1981年以来使われている現在の旗にはジャージーの紋章と王冠が描かれていますが、それ以前は白地に赤い斜め十字だけのシンプルな旗でした。この旗の起源は正確には分かっていません。

聖パトリック十字との類似性

この旗がアイルランドの聖パトリック十字旗（白地に赤い斜め十字）に似ていることから、オランダ人が海図を描く際に地名を誤記したという説があります。しかし、聖パトリック十字がアイルランドを代表するシンボルとなったのは1783年であり、それ以前のフランス海軍の海図には赤い斜め十字が描かれているため、ジャージーの十字の方が古いと考えられます。

ノルマン起源説

赤い斜め十字はノルマン人起源とする説もあります。聖パトリック勲章にあしらわれた赤い斜め十字は、アイルランドに定住したノルマン系貴族のフィッツジェラルド家の紋章から採られました。このことから、ジャージー島の赤い斜め十字も同一起源の可能性があるという説ですが、これを裏付ける証拠はほとんどありません。

俗説

一般的には、イギリスとフランスが戦争をしていた頃、ジャージー島は中立を認められており、英仏両方と自由に貿易するために、イギリスの船ではないことを示す必要がありました。そのため、それまで掲げていた聖ジョージ十字をひっくり返して斜めにした旗を作ったという説があります。

現代における旗の役割

20世紀後半、ジャージー島がタックス・ヘイヴンとして発展し国際的な評価を受けるようになると、旗がアイルランドの聖パトリック旗に似ていることや、国際信号旗の「V」と同じデザインであることが問題視されるようになりました。しかし、長い伝統を持つ赤い斜め十字の旗に誇りを持つべきという意見もありました。また、紋章のヒョウをあしらった旗を制定しようという運動も行われました。現在の旗は、これらの意見の妥協の産物とも言えます。

現在の旗は掲揚されていますが、政府や民間では紋章の三匹のヒョウの方がジャージーの象徴としてより多く使われています。

関連項目

国旗の一覧
ジャージー島の紋章
イギリスの旗の一覧

外部リンク

Bailiwick of Jersey at Flags of the World

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