ジャージー種

ジャージー牛：濃厚なミルクと愛らしい魅力

ジャージー牛は、世界的に知られる乳牛の品種です。ホルスタイン種ほどではありませんが、世界各地で飼育され、特にバターなどの乳製品生産が盛んなデンマークやニュージーランドでは主要な品種として活躍しています。

特徴：濃厚なミルクと小型の体格

ジャージー牛の最大の特徴は、その濃厚な牛乳にあります。一般的な牛乳よりも乳脂肪率（約5％）と無脂乳固形分率（約9％）が高く、脂肪球が大きいことから、バター作りに非常に適しています。また、カロチンを豊富に含むため、牛乳の色は濃い黄色をしています。年間の乳生産量は3,500キログラム程度と、ホルスタイン種と比べると少ないものの、1日あたりの生産量は安定しています。

体格は小型で、雌牛の体高は約130センチメートル、体重は約400キログラムです。雄牛はそれぞれ約140センチメートル、約700キログラムとなります。体格は国による差が少なく、均一性が高いのも特徴です。毛色は淡褐色から濃褐色で、雄牛の方が色が濃い傾向があります。角を持ち、ホルスタイン種と比べて頭部の毛がより発達しているのも特徴的です。

体型は典型的な乳用体型で、やせ型で前躯が軽く、背線はやや緩やかです。体幅、特に骨盤幅は狭く、乳房はよく付着しており、垂れ乳房が少ないものの、乳房幅はやや狭いのが特徴です。

肉質については、骨が細いため枝肉歩留まりは約56％と低く、肉量は少ないです。また、体脂肪に黄色みがかっており、食肉としての評価は高くありません。しかし近年では、和牛並みのオレイン酸などの不飽和脂肪酸を含むことから、肉牛としての需要も高まりつつあります。

性格は人懐っこく、愛嬌のある牛として知られています。

日本における歴史と現状

日本へは、1877年（明治10年）にアメリカから輸入されたのが最初です。その後、神津邦太郎氏により群馬県で本格的な飼育が始まり、1905年にはアメリカ、カナダから多くのジャージー牛が輸入され、日本のジャージー牛改良の礎を築きました。

戦後、酪農振興法の制定に伴い、原料乳生産地帯を中心にジャージー牛の飼育が奨励され、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカなどから多くの牛が輸入されました。1964年には約28,000頭にまで増加しましたが、その後は乳量が多いホルスタイン種に押され、頭数は減少傾向にあります。

2016年3月末時点の国内飼養頭数は約12,739頭で、中心的な産地は岡山県真庭市の蒜山高原などです。岡山県はジャージー牛生産量日本一を誇り、その他、熊本県、北海道なども主要な産地となっています。

近年では、都市近郊の小規模牧場において、ジャージー乳の高脂肪・高品質を活かした乳製品の製造・直販を行う事例も見られます。

まとめ

ジャージー牛は、濃厚な牛乳と愛らしい性格が魅力の乳牛です。日本においては、ホルスタイン種に比べると頭数は少ないものの、独自の強みを生かし、今後もその地位を保っていくことが期待されます。その濃厚なミルクから作られるバターやチーズ、アイスクリームなどは、多くの人々に愛され続けています。また、近年では肉質の良さも注目され、多様な用途で活躍する可能性を秘めています。

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