ジャーリヤ経

ジャーリヤ経について

『ジャーリヤ経』（巴: Jāliya-sutta）は、パーリ仏典の経蔵に含まれる重要な経典であり、長部経典の中の第7経に位置します。この経典は、漢訳において『闍利経』としても知られていますが、伝統的な漢訳経典には類似の内容の経典は存在しません。タイトルの由来は、経典中に登場する遍歴行者ジャーリヤ（闍利）から来ています。

経典の背景と登場人物

物語は、釈迦（シャカ）がヴァツサ国のコーサンビーのゴーシタ園に滞在している際に始まります。そこで、遍歴行者であるマンディッサとジャーリヤの2人が釈迦を訪れます。彼らが釈迦に向かって尋ねた問いは「霊魂と身体は同一なのか、またはそれぞれ別の存在なのか」という哲学的なテーマです。

この問いに対して釈迦は直接的な答えを出すのではなく、より深く実践的な教えを提供します。釈迦が語るのは、解脱の果報についてであり、そこに至るための様々な実践方法です。

教えの内容

釈迦が提示する実践は、以下の要素から構成されています:

• - 十善戒: 行動において遵守すべき善き行いの戒律。
• - 六根清浄: 目、耳、鼻、舌、身体、意識の六つの感覚器官を浄化することの重要性。
• - 正念正智: 正確な気づきと知恵をもって物事を観察すること。
• - 三衣一鉢による満足: 最小限の物質的要求に満足すること。
• - 五蓋の除去: 煩悩や邪念を取り除くこと、五禅支の生成。
• - 四禅: 精神を高めるための瞑想状態。
• - 六神通: 異次元的な能力や力。

この教えを受けたマンディッサとジャーリヤは心の内に法悦を感じ、釈迦の教えを受け入れ、三宝に帰依することを誓います。

経典の資源

この経典は、以下の翻訳資料で紹介されています。

• - 『南伝大蔵経・経蔵・長部経典1』（第6巻） 大蔵出版。
• - 『パーリ仏典 長部（ディーガニカーヤ）戒蘊篇II』 片山一良訳 大蔵出版。
• - 『原始仏典 長部経典1』 中村元監修 春秋社。

関連項目

この経典に関連する重要なテーマや概念として、解脱、三学、十善戒、六根清浄、五蓋・五禅支、四禅、六神通などが挙げられます。

まとめ

『ジャーリヤ経』は、釈迦とその弟子たちの対話を通して、深い霊的洞察を提供する重要な教えを含んだ文献であり、仏教実践の核心に迫る内容を持っています。この経典は、精神的成長を求める者にとって大変貴重な知恵と指導を与えてくれます。

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