ジュゼッペ・タルティーニ

ジュゼッペ・タルティーニ

生涯

ジュゼッペ・タルティーニ（Giuseppe Tartini）は、1692年4月8日にイストリア半島のピラーノ（現在のスロベニア領ピラン）で生まれました。彼の両親は、タルティーニをフランシスコ会の修道士にすることを望んでおり、そのため音楽の基礎を学ぶ機会を与えました。タルティーニはパドヴァ大学で法律を学び、同時に優れたフェンシングの技術を身につけました。

1710年、父を亡くした後、彼はエリザベッタ・プレマゾーレと結婚しますが、エリザベッタは有力な貴族に寵愛されており、タルティーニは誘拐の疑いで訴追されることとなります。この問題を回避するため、アッシジの聖フランシスコ修道会に身を隠し、その間にヴァイオリンの演奏を始めました。

1716年には、フランチェスコ・マリア・ヴェラチーニの名演を聴き、自らの演奏技術に対する不満から、アンコーナに移住し、ひたすら練習に励むことになります。彼の技術は急速に向上し、1721年にはパドヴァのイル・サント礼拝堂でカペルマイスターに就任します。この役職を得た彼は、他の団体での演奏も許されていました。

1726年からタルティーニはヴァイオリン教室を開設し、多くの学生を引き付けることになります。音楽理論に関心を持つようになり、1750年以降は多くの学術論文を発表しました。

音楽

タルティーニの代表作として特に有名なのが《悪魔のトリル》です。この曲は、数多くの難しい技術を要するダブルストップのトリルが含まれ、非常に高い難易度を誇ります。ある逸話によれば、彼はアッシジにいた際に「自分のベッドの足元で悪魔がヴァイオリンを弾いている」という夢を見て、このソナタを作曲したということです。

今日では、彼の作風に関する研究が進み、1740年代後半以降の作品としての解釈が多くなされています。また、古代ギリシア・ローマの伝説に基づくヴァイオリン・ソナタ《捨てられたディド》も彼の名作の一つです。

タルティーニの作品は主にヴァイオリン協奏曲やヴァイオリンソナタで構成されていますが、ヴィオラ・ダ・ガンバのための協奏曲も書いています。彼の作品は彼自身の生涯を通じて修正が加えられており、日付も記載されていないため、正確な制作時期や改訂の内容を知るのが難しい点が研究者たちにとっての課題となっています。音楽学者のドゥニアスとブレイナードは、彼の作品をスタイル上の特徴に基づいて分類する試みを行っています。

作曲家として活動する傍ら、タルティーニは実用的な音楽理論家でもありました。彼は弦楽器における差音という聴覚現象を発見したことで知られ、その結果を1754年に出版した論文『Trattato di musica secondo la vera scienza dell'armonia』で発表しています。

さらに、20世紀のイタリアの作曲家ルイージ・ダッラピッコラはタルティーニにインスパイアされて《タルティニアーナTartiniana》という小作品を作曲しました。

主な作品

• - ヴァイオリン・ソナタ《悪魔のトリル》
• - ヴァイオリン・ソナタ《捨てられたディド》

タルティーニの音楽は、今日でも演奏され続け、多くの音楽愛好者に親しまれています。とりわけ《悪魔のトリル》は、その技術的な挑戦と情熱的な表現を通じて、彼の名声を不動のものとしました。

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