ジュネーブサロン

ウォッチズ＆ワンダーズ ジュネーブ：高級時計の祭典、その歴史と未来

ウォッチズ＆ワンダーズ ジュネーブ（Watches and Wonders Geneva、旧ジュネーブサロン）は、スイスのジュネーブで毎年開催される、世界最大級の高級時計見本市です。高級時計財団（FHH）が主催し、かつては「Salon international de la haute horlogerie（SIHH、国際高級時計サロン）」と呼ばれていました。

歴史

元々はバーゼル・フェアに出展していたカルティエを中心とする高級時計メーカーグループ（現在のリシュモングループ）が、1991年に独立する形で始まりました。当初はバイヤーと報道関係者のみに門戸が開かれており、一般公開を行うバーゼル・フェアとは一線を画していました。リシュモングループ以外では、ソーウインドグループ（ジラール・ペルゴなど）、オーデマ・ピゲ、パルミジャーニ・フルリエなどが参加を認められていました。

2009年には、ラルフローレンが時計事業に参入し参加。その後、高級時計価格の高騰や中国市場の停滞などの影響を受け、リシャール・ミルなどの新規高級時計メーカーや独立時計師にも参加の機会が与えられるようになりました。2017年には、最終日のみ事前登録した一般客の有料入場が実現しました。

2019年には、オーデマ・ピゲとリシャール・ミルがビジネスモデルの変化を理由に撤退し、独自のフェアを開催するようになりました。スウォッチグループなどのメーカーがバーゼル・フェアから撤退したことを受け、2020年のジュネーブサロンはバーゼル・フェアと同時期に開催される予定でしたが、新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、オンライン開催へと変更されました。名称も「ウォッチズ＆ワンダーズ ジュネーブ」と改められました。

2022年には、オンラインとリアルのハイブリッド開催が実現し、2023年には7日間のフル開催となりました。

ウォッチズ＆ワンダーズ ジュネーブ財団（WWGF）の設立

2022年9月、リシュモングループ、ロレックス、パテックフィリップにより、ウォッチズ＆ワンダーズ ジュネーブ財団（WWGF）が設立されました。ロレックス会長のジャン・フレデリック・デュフールが財団理事会の会長に、高級時計財団（FHH）CEOのマチュー・ユメールがCEOに就任しました。

2024年と今後の展望

2024年は7日間開催され、54ブランドが参加しました。最初の4日間はメディア公開、残りの3日間は一般公開となりました。2025年は4月1日から4月7日まで開催される予定です。しかし、メディア公開日が短いため、すべてのブランドを取材できないという課題も指摘されています。同年には、シャネル、エルメス、LVMHがWWGFの理事会メンバーに加わりました。

スウォッチグループの不参加

スウォッチグループのニック・ハイエック Jr.CEOは、ウォッチズ＆ワンダーズ ジュネーブを「エリート主義の集まりであり、私たち業界人にとって最も重要な要素である世界中の消費者を排除して」いるとして、今後も参加しない意向を表明しています。同グループは代わりに独自のフェアを開催しています。

ウォッチズ＆ワンダーズ ジュネーブは、高級時計業界のトレンドを牽引する重要なイベントであり、今後もその動向から目が離せません。

もう一度検索