ジュノー (CL-52)

軽巡洋艦ジュノー(CL-52)の生涯

アメリカ海軍のアトランタ級軽巡洋艦2番艦として建造されたジュノー(USS Juneau, CL-52)は、その短い艦歴の中で数々の激戦を経験し、壮絶な最期を遂げた悲劇の艦です。1942年2月に就役したジュノーは、その名をアラスカ州の都市ジュノーにちなんで命名されました。

初期の活動と太平洋戦線への投入

就役後、ジュノーは慣熟航海を経て、カリブ海での哨戒任務に従事しました。フランス・ヴィシー政権の艦隊の逃走を阻止するための海上封鎖に参加した後、北大西洋とカリブ海で護衛任務を担当。1942年8月には太平洋戦線へ向かいました。

太平洋に到着後、ジュノーは空母「ワスプ」を中心とする第18任務部隊に合流。ガダルカナル島への航空機輸送任務に携わります。その後、空母「ホーネット」を含む第17任務部隊に加わり、ガダルカナル島への輸送船団護衛に当たります。この海域は日本軍潜水艦が多数潜んでおり、「魚雷交差点」と呼ばれていました。

1942年9月15日、潜水艦「伊19」の攻撃により空母「ワスプ」が撃沈されるという悲劇が発生。ジュノーは一時的に生存者の救助活動にも従事しました。その後、任務部隊に復帰し、船団護衛を継続しました。

南太平洋海戦での激闘

1942年10月26日、ジュノーは南太平洋海戦（サンタ・クルーズ諸島海戦）に参戦。この海戦は、ジュノーにとって最初の大規模な戦闘となりました。この海戦で、ジュノーは空母「ホーネット」を護衛する任務に就きます。アメリカ軍機動部隊は、日本軍機動部隊と激しい航空戦を展開。ジュノーは対空砲火で応戦し、敵機を撃墜するなど奮戦しました。しかし、日本軍の攻撃により「ホーネット」は大きな損傷を受け、最終的に放棄されることとなります。ジュノーは損傷した空母エンタープライズへの援護に向かいました。

第三次ソロモン海戦と悲劇的な最期

1942年11月初旬、ジュノーはガダルカナル島への増援部隊輸送船団を護衛する任務に参加。11月12日、輸送船団がガダルカナル島に到着すると、ジュノーは輸送艦の護衛に当たります。同日午後、日本軍機の空襲を受けますが、ジュノーは対空砲火で応戦し、敵機を撃墜。輸送船団に大きな被害はありませんでした。

しかし、その夜、ジュノーは第三次ソロモン海戦（第一夜戦）に巻き込まれます。夜間の海戦でジュノーは日本艦隊と交戦。魚雷攻撃を受け、機関室に損傷を受け一時航行不能となります。海戦後、ジュノーは僚艦と共に退却を開始しますが、翌朝、潜水艦「伊26」の雷撃を受けます。この攻撃で、ジュノーは船体が真っ二つに折れて轟沈しました。

この時、ジュノーには約120名の生存者がいましたが、救助活動が行われなかったため、8日間の漂流中に大多数が死亡。サリヴァン兄弟を含む乗員90名が命を落としました。生存者はわずか10名でした。

サリヴァン兄弟の悲劇

ジュノーには、五人兄弟全員が乗組員として勤務していました。サリヴァン兄弟の悲劇はアメリカ国民に大きな衝撃を与え、戦時中のプロパガンダや映画の題材にもなりました。この事件を教訓に、アメリカ軍は親族を分散配置する方針を徹底することになります（ソウル・サバイバー・ポリシー）。

ジュノーの戦功と記憶

ジュノーは、その短い艦歴の中で数々の激戦を経験し、第二次世界大戦の戦功により4個の従軍星章を受章しました。その悲劇的な最期は、多くの人々に記憶されています。ジュノーの勇戦と犠牲は、今もなお語り継がれています。

ジュノーの沈没地点は、長らく不明でしたが、2018年に調査チームによって発見されました。その残骸は、今もなお太平洋の海底に眠っています。

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