ジュリア・カロザース

ジュリア・カロザース：黎明期の日本女子教育に貢献したアメリカ人宣教師

ジュリア・カロザース（Julia Sarah Carothers、1845年 - 1914年）は、19世紀後半の日本において、キリスト教の伝道と女子教育に情熱を注いだアメリカ人女性です。夫であるクリストファー・カロザースと共に来日し、原女学校の前身となる長老派女学校（A六番女学校）を設立しました。彼女の生涯は、激動の明治初期における国際的な文化交流と、女性の地位向上への貢献を象徴しています。

生い立ちと結婚

1845年、ジュリアは現在のウェスト[[バージニア州]]ホイーリングで、牧師リチャード・V・ドッジの長女として誕生しました。小学校教師として働いた後、1869年4月6日に同じく宣教師であるクリストファー・カロザースと結婚。新婚の二人は、同年6月にアメリカ大陸を横断し、日本へと旅立ちました。

日本での活動

1869年7月、ジュリアは夫と共に横浜に到着。当初は、同じく宣教師であるヘボン夫妻の家に滞在しました。夫のクリストファーは、デイヴィッド・タムソンらと共に東京での伝道活動に力を注ぎ、ジュリアもまた、築地に移り住んだ後、自宅で英語塾を開きました。これが、カロザース塾として知られる東京における最初のミッションスクールとなりました。

1872年、銀座大火で宣教師館が焼失するという困難に見舞われましたが、ジュリアは仮住まい先で音楽の授業を行うなど、教育への情熱を絶やすことはありませんでした。その後、自宅を再建し、A六番女学校として女子教育を再開しました。この学校は、後に長老教会婦人伝道局の管轄下に入り、長老派女学校として発展しました。

しかし、学校運営を巡る対立や、キリスト教の表記問題を巡る論争が起こり、1876年にカロザース夫妻はミッションを辞任することとなりました。その後、生徒たちは日本独立長老教会附属の女学校を開設し、ジュリアを教師として迎えました。

成樹学校と帰国

ミッション辞任後、ジュリアは一時的に上海に滞在した後、体調を崩して女学校を辞任し、静養しました。その後、夫と共に広島に移り住みましたが、ジュリアの体調は優れず、1877年にアメリカへ帰国することになりました。帰国後、夫とは別居し、両親と共に生活を送りました。

晩年

帰国後、夫のクリストファーもアメリカに戻りましたが、二人は再び共に生活することはありませんでした。ジュリアは実家で過ごし、裕福な家族と共に世界中を旅行するなどして過ごしました。1901年頃には、観光で日本を訪れています。1914年3月26日、ジュリアはサンディエゴで生涯を閉じ、同地の墓地に埋葬されました。

著書

ジュリア・カロザースは、日本での経験を基に、以下の著書を執筆しました。

The Sunrise Kingdom; or life and Scenes In Japan and Women's work for Women there (1879年)
Kesa and Saijiro or, Light and Shades of Life in Japan (1888年)
* Japan's Year (1905年)

これらの著書は、当時の日本の生活や文化、そして女性たちの状況を伝える貴重な資料となっています。

ジュリア・カロザースは、明治初期という激動の時代に、異文化の中で生き、教育を通して人々に貢献した女性でした。彼女の足跡は、日米の文化交流史、そして日本の女子教育史において、重要な意味を持っています。

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