銀座大火

銀座大火の詳細解説：近代都市への転換点

1872年（明治5年）2月26日（旧暦）、和田倉門内旧会津藩邸からの出火が、東京を襲った大火災、銀座大火です。折からの強風にあおられ、火は瞬く間に燃え広がり、丸の内、銀座、築地一帯を焼き尽くしました。この大火を契機に、明治政府は銀座を不燃化された西洋風の街路へと大改造することを決定しました。

大火の概要と被害

火災は和田倉門内兵部省添屋敷（旧会津藩中屋敷）から発生し、強風にあおられて950,400平方メートル（41町、4,879戸）を焼き払いました。記録によると、焼死者は8名、負傷者は60名、焼失家屋は4,874戸に及びました。当時の東京における中心地域が壊滅的な被害を受けたことがわかります。

火災の経過

火災は午後3時頃、現在の皇居外苑3にあたる場所から発生しました。西北の風に乗って火は燃え広がり、馬場先濠を越えて大蔵省紙幣寮や織田信敏邸（旧天童藩織田家上屋敷）、司法省（旧西尾藩大給松平家上屋敷）、山内豊誠邸（旧高知藩山内家上屋敷）など、丸の内の旧武家地を次々と焼き尽くしました。

さらに火勢は外濠を越え、現在の銀座西北端にあたる京橋南紺屋町に飛び火し、銀座一帯に燃え広がりました。京橋の町人地を焼き払った後、再び旧武家地へと延焼し、伊達宗徳邸（旧宇和島藩伊達家上屋敷）や亀井茲監邸（旧備中松山藩板倉家中屋敷）、西尾忠篤邸（旧横須賀藩西尾家中屋敷）などを焼き、築地川を越えて築地地区へと達しました。築地では、開墾会社や牛馬会社など、新興企業が拠点を置いていた地域を焼き払い、築地本願寺にまで延焼しました。

その後、火は再び築地川を越えて南飯田町、柳原町、南本郷町、南小田原町、築地ホテル館などを焼き、午後10時頃にようやく鎮火しました。銀座一丁目から六丁目にかけての大部分が焼失するという、甚大な被害をもたらしました。

大火後の復興と都市改造

大火後、明治政府は東京を防火防災都市として再建するため、大胆な都市改造計画を立案しました。東京府知事の由利公正は、銀座に煉瓦造りの建物を数多く建設し、銀座大通りの幅員を45.5mに拡張することを主張しました（最終的には27.3mに落ち着きました）。

由利の主導のもと、お雇い外国人トーマス・ウォートルスの設計により、銀座は西洋風の近代都市へと生まれ変わりました。この都市改造によって、銀座は日本の近代化を象徴する街並みへと変貌を遂げました。（銀座煉瓦街参照）。

大火の影響

精養軒は、馬場先門にて開店当日、この大火に遭い焼失しました。その後、木挽町五丁目で築地精養軒を再開しました。また、当時岩倉使節団として洋行していた副使山口尚芳をはじめ、多くの人々の住居も被害を受けました。築地鉄砲洲の外国人居留地も被災し、ポルトガル領事館などが焼失しています。

銀座大火は、単なる火災被害にとどまらず、東京ひいては日本の都市計画に大きな影響を与えた出来事と言えるでしょう。

参考文献

藤森照信「明治の東京計画」岩波書店
大倉雄二「鯰 大倉喜八郎」文藝春秋

関連項目

銀座煉瓦街
銀座大通り

外部リンク

* 公文書に見る岩倉使節団

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