ジュリー (柔道)

柔道におけるジュリー（審判委員）とは

柔道の試合におけるジュリーとは、審判員を監督する役割を担う者、すなわち「審判委員」を指します。1994年に国際柔道連盟（IJF）が導入したこの制度は、国際大会で頻発していた判定に関するトラブルがきっかけでした。

ジュリー制度の導入とその変遷

初期のジュリー制度

当初、IJF試合審判規定におけるジュリーの権限は、「試合は審判委員会の監督のもとで行われる」「試合を止める権限がある」「審判団と打ち合わせをする権限がある」と定められていましたが、具体的な介入範囲、例えば審判員の判定への介入については明確な規定がありませんでした。全柔連の審判委員規定では、審判委員は審判員の最終決定を尊重しなければならないとされ、ジュリーによる判定への介入は否定されていました。

誤審騒動とビデオ判定の導入

1997年のパリ世界選手権や2000年のシドニーオリンピックで発生した誤審騒動を契機に、ビデオ判定の導入が検討されるようになりました。全柔連は2000年12月に福岡国際でCAREシステムによるビデオ判定の試験導入を試み、IJFも徐々にビデオ判定導入に前向きになり、2007年の世界選手権から本格的な運用が始まりました。

ジュリー制度の変質

ビデオ判定の導入以降、ジュリーによる審判員への介入が顕著になってきたと言われています。2009年の世界選手権では、主審がインカムを装着してジュリーテーブルからの指示を受ける事例も見られました。しかし、一方でインカムを通じてジュリーから指示を受けたことがない審判員も存在し、ジュリーの介入に対する評価は分かれています。

近年の誤審事例とスーパーバイザー制度

2012年のロンドンオリンピックでは、ジュリーによる判定の覆りが多発し、物議を醸しました。2015年のグランドスラム・東京では、ジュリーが誤審を認める事態も発生しています。2017年には、IJFが審判間の意見が食い違う微妙なジャッジの際に最終判断を下すスーパーバイザーの役職を設け、ジュリーの役割を担うことになりました。

2018年からは、主審に大きなミスがない限り、ジュリーやスーパーバイザーはできる限り判定に介入しないことが決定されました。

近年の事例

2021年の世界ジュニアでは、一旦は技ありとされたポイントが試合後に取り消されるという異例の事態が発生しました。また、2022年のヨーロッパクラブ選手権では、フランスチームの抗議によりIJFが誤審を認め、判定が覆るという事例もありました。2023年の世界選手権でも、ポイントの付与に関する判断が覆る事態が発生しています。

2024年のパリオリンピックでは「待て」のコールの後も永山を絞め続け、結果永山が意識を失い一本負けとなったことが問題となっています。その後も阿部詩、橋本壮市、髙市未来などの対戦でも判定に誤審の疑惑が出ており、問題となっています。

まとめ

ジュリー制度は、柔道の試合における公平性を担保するために導入されましたが、その役割や権限は時代とともに変化してきました。ビデオ判定の導入やスーパーバイザー制度の創設など、様々な試みがなされてきましたが、誤審問題は依然として後を絶ちません。今後の柔道界においては、ジュリー制度の更なる改善や審判員の育成が不可欠であると言えるでしょう。

関連人物

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曺準好
フアン・カルロス・バルコス
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関連項目

陪審
審判員

外部サイト

国際柔道連盟（IJF）試合審判規定

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