ジョアン2世 (ポルトガル王)

ジョアン2世（1455年3月3日 - 1495年10月25日）は、アヴィス王朝のポルトガル王であり、その治世は1481年から1495年まで続きました。彼はアフォンソ5世と最初の王妃イザベル・デ・コインブラの間に生まれ、「無欠王」（O Príncipe Perfeito）と称えられています。

ジョアン2世は、父王の時代から摂政として政治に関与し、1481年に王位を継承しました。即位後、彼は強力な中央集権化を目指し、コルテス（身分制議会）の支持を得て貴族階級を厳しく弾圧しました。特に、国土の3分の1を支配し、カスティーリャ王国と内通していた又従兄のブラガンサ公フェルナンド2世を1483年に滅ぼしたことは、彼の権力基盤を強固にする上で重要な出来事でした。また、王妃レオノール・デ・ヴィゼウの兄であり、ジョアンの従兄でもあるヴィゼウ公ディオゴも、謀反に加担したとして同年処刑されました。

ジョアン2世の治世において特筆すべきは、エンリケ航海王子の遺志を継ぎ、アフリカ西海岸の探検を積極的に推進したことです。1484年にはコンゴ河口に到達し、1488年にはバルトロメウ・ディアスが喜望峰に到達するなど、大航海時代の幕開けを象徴する出来事が相次ぎました。しかし、彼はクリストファー・コロンブスの航海計画には協力を拒否したため、大西洋開拓においてスペイン（カスティーリャ＝アラゴン連合王国）に遅れを取ることになりました。

ジョアン2世の家族関係にも触れておくと、彼は従妹でもある王妃レオノールとの間に二人の息子をもうけましたが、次男ジョアンは夭逝しました。長男のアフォンソ王太子は、1490年にカスティーリャ＝アラゴン王女イサベル（カトリック両王の娘）と結婚しましたが、翌1491年に落馬事故で亡くなりました。この悲劇により、王太子妃イサベルは故国に帰国しました。ジョアン2世には庶出の息子ジョルジェがいましたが、王妃レオノールに嫌われていたため、後継者には指名されませんでした。最終的に、王妃の勧めに従い、彼女の弟であり従弟にあたるベージャ公マヌエルを王太子に指名しました。

ジョアン2世は、1495年に41歳でその生涯を閉じました。その治世は、中央集権化の推進とアフリカ探検の奨励という二つの大きな柱によって特徴づけられ、ポルトガルを大航海時代へと導く上で重要な役割を果たしました。彼は、その精力的な統治と卓越した政治手腕から、名君として高く評価されています。

ジョアン2世の治世下で締結されたトルデシリャス条約や、バルトロメウ・ディアスの探検は、彼の業績を語る上で欠かせない要素です。

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