ジョイ (ホームセンター)

ホームセンター『ジョイ』の軌跡：創業からブランド消滅まで

1980年、山形県で創業したホームセンター『ジョイ』。地域に根ざした経営からスタートした同社は、その後、積極的な多店舗展開を図るも、経営不振に陥ってしまいます。

経営再建とイオンとの提携

過剰な店舗展開が経営を圧迫する中、『ジョイ』は2005年、金融機関からの支援を得て経営再建計画に着手。不採算店舗の閉鎖や店舗規模の縮小といった抜本的な改革を実行しました。この再建策は、主力銀行であった山形しあわせ銀行（現：きらやか銀行）の積極的な債権放棄や他の金融機関による債務返済猶予など、関係各所の協力によって支えられました。

再建計画の中、2006年にはイオン傘下の株式会社サンデーとの業務・資本提携を締結。イオンという強力なパートナーを得た『ジョイ』は、経営基盤の強化を図ります。しかし、2015年9月1日、『ジョイ』はサンデーに吸収合併され、会社としてその歴史に幕を閉じました。

ブランドとしての存続と消滅

合併後も、店舗の名称は『ジョイ』のまま維持され、サンデーのブランドの一つとして営業を続けました。しかし、サンデーは東北地方におけるブランド統一と経営効率化を図るため、2018年5月、全店舗の名称を『サンデー』に変更。長年親しまれてきた『ジョイ』ブランドは、こうして歴史の舞台から姿を消しました。

他の「ジョイ」との関係性

香川県に存在した同業者「西村ジョイ」や、かつて北海道で展開されていたスーパーマーケットの「ジョイ」（イオングループ）とは、資本関係や人的つながりはありませんでした。スーパーマーケット「ジョイ」も2018年10月31日に閉店し、ブランドとしては消滅しています。

株式会社ジョイの沿革

1980年（昭和55年）1月: 山形県東根市に株式会社ジョイ設立。ホームセンター事業開始
1984年（昭和59年）10月: 本部を山形市に移転
1995年（平成7年）10月: 貿易子会社「サイツ・ジャパン株式会社」設立
1999年（平成11年）2月: 流通センター（宮城県柴田郡村田町）稼動
2000年（平成12年）11月: 代表取締役社長に重本幸男氏就任
2004年（平成16年）12月: 中国上海駐在事務所閉鎖
2005年（平成17年）1月: 代表取締役社長に阿部恵氏就任。3ヵ年経営再建策発表
2005年（平成17年）2月: 産業活力再生特別措置法の適用認定。「サイツ・ジャパン」清算決議
2005年（平成17年）4月: 「サイツ・ジャパン」完全閉鎖
2005年（平成17年）6月: 本店所在地を山形市に移転
2006年（平成18年）9月: 株式会社サンデーと業務・資本提携
2007年（平成19年）2月: 代表取締役会長に和田正徳氏就任
2007年（平成19年）5月31日: 株式会社サンデーの連結子会社となる
2010年（平成22年）5月: 取締役会長に宮下直行氏就任
2012年（平成24年）4月: 代表取締役社長に松谷幸一氏就任
2013年（平成25年）5月: 取締役会長に川村暢朗氏就任
2015年（平成27年）9月1日: 株式会社サンデーに吸収合併され解散
2018年（平成30年）5月: 全店舗名がサンデーに変更。ブランド消滅

まとめ

『ジョイ』は、地域密着型のホームセンターとして出発し、積極的な展開を試みたものの、経営危機に見舞われました。イオンとの提携による再建努力も実らず、最終的にはブランド消滅という結末を迎えました。その歴史は、地方企業の成長と苦悩、そして時代の変化を象徴的に物語っています。

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