ジョイカード (ゲームコントローラ)

ハドソンの連射コントローラー「ジョイカード」

ジョイカードは、ハドソンが開発した連射機能付きのゲームコントローラーです。ファミリーコンピュータ（ファミコン）をはじめ、MSX、PC、スーパーファミコン、セガサターン、NINTENDO64など、様々なプラットフォーム向けに発売されました。特にファミコン用として発売された『ジョイカードMK.2』は、その連射機能と使いやすさから、当時爆発的な人気を博しました。

概要

ジョイカードは、ファミコンの純正コントローラーとほぼ同じデザインのジョイパッドに、連射機能を搭載したものです。サイズは純正コントローラーよりも一回り大きく、大人でも持ちやすいように設計されています。連射機能はAボタンとBボタンに割り当て可能で、スライドスイッチで連射なし、秒間8発、秒間15発の3段階に切り替えられます。接続コードは純正品よりも長い1.1メートルで、プレイ中の取り回しを考慮した設計です。定価は1,980円と、当時としては比較的安価な設定でした。

ファミコンの純正コントローラーは、コードが横から出ているため指に引っかかりやすいという問題がありましたが、ジョイカードはコードが中央から出る設計により、プレイ中のストレスを軽減しました。この設計は、後のゲーム機コントローラーにも採用されることになります。また、純正コントローラーよりも一回り大きいサイズは、大人にとってはフィット感が良く、持ちやすいため好評でした。これらの要因に加え、当時のファミコンブームや高橋名人の人気による連射ブームも相まって、ジョイカードは150万個を売り上げる大ヒット商品となりました。

仕様・バリエーション

最も有名なのはファミコン用の『ジョイカードMK.2』ですが、最初に発売されたのはMSX用で、連射機能のないノーマルなコントローラーでした。ファミコン版『ジョイカードMK.2』は、1986年6月13日にハドソンより発売の全国キャラバン用ソフト『スターソルジャー』と同日に発売されました。名称に最初から「マーク2」とあるのはこのためです。

パッケージには、連射速度が最大秒間16.5発と記載されているものと、15発と記載されているものがあります。これは、設計上は最大秒間16発を予定していたものの、当時のICの精度の関係で、実際に秒間16発で動作する個体が少なかったため、動作保証できる秒間15発を表記したものです。

その後、ジョイカードMK.2の仕様でMSXやPC用も発売され、スーパーファミコン、セガサターン、NINTENDO64など、後発の家庭用ゲーム機向けにも展開されました。PCエンジンでは、「ターボパッド」という名称でジョイカードと同じ仕様のものが発売されました。

制作ルーツ

ジョイカードのルーツは、1985年頃にハドソン社内の技術者が、コントローラーにタイマーICを組み込んで連射機能を付けたことでした。高橋名人がその回路の構造を聞き、自分で半田ごてを使って連射機能付きのファミコン用コントローラーを自作したのが、商品化のきっかけとなりました。高橋名人が製作したコントローラーは、当時の社長や役員に好評で、製品化が決まりました。

ジョイカードシリーズ

• - ジョイカードMK.2（ファミリーコンピュータ用 1986年）

- 1986年6月13日、『スターソルジャー』と同時発売。150万個を販売。

• - ジョイカードMK.2 透明バージョン（ファミリーコンピュータ用 1987年）

- 1987年6月5日発売『高橋名人のBUGってハニー』のプレゼント企画用のスケルトン仕様の非売品。限定1000個。

• - ジョイカードMK.2 ヘクター'87バージョン（ファミリーコンピュータ用 1987年）

- 1987年7月の『ヘクター'87』発売と全国キャラバンゲーム大会に合わせて発売。本体カラーはブラック。

• - ジョイカードMK.2 サンスイ・バージョン（ファミリーコンピュータ用 1989年）

- 1989年に音響機器メーカーの山水電気と共同で製作発売。イヤホン端子と音量調整ボリュームを搭載。疑似ステレオ機能付き。

• - スーパージョイカード（スーパーファミコン用）

- 1991年8月23日発売。A、B、X、Yボタンに連射機能。後期ロット版はコードが2.2メートル。

• - SBOMジョイカード（セガサターン用 1996年）

- 1996年7月19日発売『サターンボンバーマン』に合わせて発売。秒間26発の連射機能。Huポジション搭載。

• - ジョイカード64（NINTENDO64用）

- 1997年8月発売。A、B、Zボタンに連射機能。スローモーション機能、Huポジション、3Dスティック調整機構付き。

• - ジョイカード（MSX用）

- 連射機能なしのノーマルパッド。

• - ジョイカード スーパーII（MSX用）

- 連射機能付き。最大秒間15発。

• - ジョイカード スーパーX（MSX、X1、X68000用）

- ファミコン版と同じデザインと機能。最大秒間16.5発。

同時期の他社製品

• - 他社製ジョイカード（ATARI規格）

- 80年代後半には、ハドソン以外にも「ジョイカード」の名称でATARI規格のジョイパッドが発売された。

• - ジョイボール

- HAL研究所が開発・発売した独特の形状の連射機能付きコントローラー。

• - ホリコマンダー

- ホリ電機から発売された連射機能付きファミコン用コントローラー。最大秒間24発。

脚注

• - ゲームセンターCX

- 番組内で、ファミコンソフトのプレイ時にジョイカードMK.2が使用された。

• - ダウンタウン

- スーパージョイカードの発売時に広告に出演。

関連項目

• - ゲームセンターCX（ゲーム番組）
• - ダウンタウン (お笑いコンビ)

ジョイカードは、連射機能付きコントローラーの先駆けとして、ゲーム史に名を残す製品です。その使いやすさ、連射機能、そして豊富なバリエーションは、多くのゲーマーに愛されました。

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