ジョイン・トゥゲザー (アルバム)

ザ・フー、再結成25周年を飾るライブアルバム『ジョイン・トゥゲザー』

『ジョイン・トゥゲザー』（Join Together）は、ザ・フーが1990年に発表したライブ・アルバム。1989年に行われた結成25周年記念の再結成ツアーから、アメリカ合衆国でのコンサートの音源を中心に収録されています。

歴史と再結成

ザ・フーは1964年、ピート・タウンゼント（ギター、ヴォーカル）、ロジャー・ダルトリー（リード・ヴォーカル）、ジョン・エントウィッスル（ベース・ギター、ヴォーカル）、キース・ムーン（ドラムス）という不動のラインナップでその歴史をスタートさせました。しかし、1978年にムーンが急逝。その後、元フェイセズのケニー・ジョーンズをドラマーに迎え活動を継続しますが、1983年に一度解散。

6年の歳月を経て、1989年にタウンゼント、ダルトリー、エントウィッスルが再結集。結成25周年を記念し「The Kids Are Alright Tour」と銘打ったツアーをザ・フー名義で開催しました。

ツアーメンバー

このツアーでは、オリジナルメンバーに加え、タウンゼントが1985年から1986年にかけてライブ活動を行っていたディープ・エンド（Deep End）のメンバーが流用されました。ドラマーのサイモン・フィリップスは、タウンゼントのソロ・アルバムにも参加経験があり、当時制作中だった『アイアン・マン』にも参加していました。また、元アトミック・ルースターのスティーヴ・ボルトンがギタリストとして参加しています。

ツアーのハイライト

The Kids Are Alright Tourは、アメリカ合衆国、カナダ、イングランドを巡り行われました。コンサートでは、アルバム『トミー』（1969年）の発表20周年を記念して、ほぼ全曲が演奏されるという特別な演出も。ロサンゼルスとロンドンでの公演では、スティーヴ・ウィンウッド、ビリー・アイドル、パティ・ラベル、エルトン・ジョン、フィル・コリンズといった豪華ゲストが参加し、会場を熱狂の渦に巻き込みました。

ツアー中の困難

しかし、ツアーは順風満帆とはいきませんでした。タウンゼントは当時難聴に悩まされており、大音量の中で演奏すると耳鳴りに苦しむ状態でした。そのため、アコースティック・[[ギター]]を主に演奏し、エレクトリック・[[ギター]]はボルトンに任せることが多くなりました。また、タウンゼントは公演中にギターの演奏中に怪我をしてしまうアクシデントに見舞われました。ダルトリーもツアー中、胃の不調に苦しみ、後に手術を受けることになりました。

様々な困難に見舞われながらも、ツアーは大盛況のうちに幕を閉じました。

アルバムの内容

本作には、複数の公演のライブ音源が収録されていますが、ラジオシティ・ミュージックホール（ニューヨーク）とユニバーサル・アンフィシアター（ロサンゼルス）でのコンサートの音源が中心となっています。

ディスク1は、ユニバーサル・アンフィシアターでのコンサートでの『トミー』の再演を収録。豪華ゲストを迎えたこのコンサートでは、これまでライブで演奏されたことのなかった楽曲も披露されました。ディスク2には、ザ・フーの過去の楽曲に加え、新曲「ディグ」やタウンゼントのソロ名義の楽曲が収録されています。

「恋のマジック・アイ」は、ムーン在籍時の1967年に全米チャートで9位を獲得した、ザ・フーのアメリカでの最大のヒット曲。しかし、コンサートではほとんど演奏されることがありませんでした。今回のツアーでバンドがツイン・ギター編成となったことで、セットリストに加えられました。「トリック・オブ・ザ・ライト」は、ムーン在籍期間中の最後のアルバム『フー・アー・ユー』（1978年）の収録曲。スタジオ録音版とは異なり、ダルトリーに代わって作者のエントウィッスルがリード・ヴォーカルを担当しています。

チャート成績

母国イギリスでは、1990年3月24日付の全英アルバムチャートで59位を記録しました。

まとめ

『ジョイン・トゥゲザー』は、ザ・フーの輝かしい歴史を振り返りつつ、新たなスタートを切った彼らの熱いライブパフォーマンスを体感できる作品です。往年のファンはもちろん、ザ・フーを初めて聴く人にもおすすめできる一枚と言えるでしょう。

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