ジョスト

ジョスト：中世ヨーロッパの騎士競技

ジョストは、中世ヨーロッパで広く行われた騎士の一騎討ち競技です。元々は馬上槍試合であるトーナメントの一種でしたが、後に独立した競技として発展し、近世初期まで盛んに行われました。トーナメントが団体戦であるのに対し、ジョストは個人戦である点が大きな違いです。そのため、両者はしばしば混同されますが、明確に区別する必要があります。

競技内容

ジョストは、通常、武器を3回交換しながら対戦が行われました。

1. ランスを用いた突進（チルト）: これはジョストの代名詞ともいえる攻撃方法で、ランスで相手を馬から落とすことを目指しました。
2. 戦斧やハンマーを用いた打撃: ランスによる突進の後、戦斧やハンマーを使用して相手を殴打しました。
3. 剣や短剣を用いた突き: 最後に、剣や短剣を用いて相手を突き刺す攻撃を行いました。

用具と装備

中世のジョストでは、甲冑や武器は実戦で使用されるものとほぼ変わりませんでした。ただし、剣の刃を鈍らせるなどの安全対策が施されることもありました。近世になると、プレートアーマーにジョスト専用の胸当てやランス・レストが取り付けられるようになり、ランスも木製で折れやすいものへと変化しました。ランスの先端には王冠状のソケットが取り付けられ、安全性は向上しました。しかし、それでもランスの破片がヘルメットの隙間に入り込むなどの事故は発生しており、フランス王アンリ2世はジョスト中の事故で命を落としたと伝えられています。

歴史と現代

中世末期にトーナメントが衰退した後も、ジョストは近世初期まで続きました。現代では、ルネサンス祭りなどのイベントの一環として行われるほか、国際ジョスト連盟（IJA:International Jousting Association）がルールを定めたスポーツ競技として行われています。また、マウンテンバイクやボートなどを用いて、棒で相手を叩き落とす遊びとして行われることもあります。

関連事項

ジョストと類似した競技や、関連する事項を以下に示します。

テントペギング: 馬上から地上の目標物を剣やランスで攻撃する馬術競技
フエゴ・デ・カーニャス: アルゼンチンで行われていた類似の競技
サラセン人の馬上槍試合: イタリアのアレッツォで開催される祭り
歴史的なヨーロッパの武術: ジョストは、中世ヨーロッパの武術の一形態として位置付けられます。

ジョストが登場する作品

ジョストを題材とした、またはジョストが登場する作品には以下のようなものがあります。

ワルキューレロマンツェ 少女[[騎士物語]]: ジョストの名門校を舞台にした日本のアダルトゲーム
ROCK YOU!: 成り行きから騎士を偽ってジョストに打ち込む主人公を描いた2001年のアメリカ映画
* 宇宙のステルヴィア: 宇宙船を用いて行われる「ライトニング・ジョウスト」が登場する日本のテレビアニメ

ジョストは、中世ヨーロッパの文化や歴史を理解する上で重要な要素であり、その歴史と現代における様相を知ることは、豊かな教養につながります。

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