ジョニー・ウィンター

ジョニー・ウィンター：ブルース界の異才、その生涯と音楽

ジョニー・ウィンター（1944年2月23日 - 2014年 7月16日）は、アメリカ合衆国を代表するギタリスト、シンガーソングライターです。その卓越したギターテクニックと、白人ながら黒人音楽であるブルースへの深い造詣で知られ、「100万ドルのギタリスト」という異名を持ちました。生まれつきアルビノで斜視という容姿もまた、彼の個性的な魅力の一部として認識されています。弟には、同じくミュージシャンであるエドガー・ウィンターがいます。

幼少期からキャリアの始まり

幼少期はクラリネットを演奏していましたが、歯の噛み合わせの問題で断念。その後、ウクレレを経てギターへと転向します。弟のエドガーと共に数々のコンテストに参加し、研鑽を積んだジョニー・ウィンターは、15歳でバンドを結成し、地元レーベルからシングル「スクール・デイ・ブルース」を発表。これが彼の音楽キャリアの始まりとなりました。1962年には、エドガーと共にバンド「ジョニー・アンド・ザ・ジャマーズ」を結成し、地元レーベルから複数のシングルをリリースして活動しました。

メジャーデビューと成功、そして苦悩

1968年、待望のデビューアルバム『The Progressive Blues Experiment』をリリース。同年には、アル・クーパーやマイク・ブルームフィールドらと共にフィルモア・イースト公演に出演し、その模様は後に『Fillmore East: The Lost Concert Tapes 12/13/68』として発表されています。翌1969年には、CBSレコードと巨額の契約金（当時数十万ドル）で契約を結び、「100万ドルのギタリスト」と呼ばれるようになりました。この契約を機に発表されたアルバム『Johnny Winter』は、ウィリー・ディクソンやウォルター・ホートンらブルース界の重鎮が参加した、本格的なブルースアルバムとして高い評価を受けました。同年には、ウッドストック・フェスティバルにも出演し、大勢の観客を魅了しました。

その後も、数々のアルバムを発表し、ロック色の強い作品もリリース。しかし、この頃よりドラッグへの依存が深刻化していったことも事実です。1973年のアルバム『Still Alive and Well』で復活を宣言しますが、音楽活動と共に、ドラッグとの闘いも続きました。1980年まで10年以上CBSに所属し、その後はアリゲーター・レコード、MCA、ポイント・ブランク・レコーズと契約を移し、精力的に活動を続けました。

ブルースへの揺るぎない情熱

CBS在籍時代にはロック色の強い作品も発表していましたが、彼の音楽の中核は常にブルースでした。ファーストアルバムや『Nothin' But The Blues』（1977年）といった作品、そしてマディ・ウォーターズのアルバムへの参加など、彼は生涯を通してブルースに向き合い続けました。特にアリゲーター・レコード時代はブルース色が濃く、彼のブルースへの揺るぎない情熱が感じられます。

体調悪化と晩年の活動

1990年代に入ると、体調の悪化により演奏活動は減少。一説によると、愛用のギブソン・ファイヤーバードを持ち上げられないほど体力が衰え、視力も低下していたと言われています。しかし、2004年に12年ぶりのスタジオアルバム『I'm A Bluesman』、2011年には『Roots』を発表。その「枯れた」演奏は、多くのリスナーに深い感銘を与えました。

初来日とグラミー受賞

長年にわたり来日公演が実現していなかったジョニー・ウィンターですが、2011年4月、ついに初来日公演を果たしました。東日本大震災の影響で危ぶまれながらも実現したZepp Tokyoでの公演は、大きな成功を収めました。2014年4月が最後の来日公演となりました。 2014年 7月16日、スイスのチューリッヒで亡くなりました。そして、死後発表された遺作『ステップ・バック〜ルーツ2』は、2015年に第57回グラミー賞最優秀ブルース・アルバム賞を受賞。彼のブルースへの功績が、再び世界に認められました。

ギタープレイの特徴

ジョニー・ウィンターのギタープレイは、そのテクニカルで高速なリフが特徴です。サム[[ピック]]、そしてフィンガーピッキングを駆使し、他に類を見ないほど豊富なリフのバリエーションを持っていました。「Be Careful with a Fool」などの楽曲で、その速弾きを堪能できます。また、ヘヴィなディストーションを効かせた、パワフルなサウンドも彼のトレードマークでした。ギブソン・ファイヤーバードを愛用し、近年はアールワイン製のヘッドレスギター「LASER」をメインギターとして使用していました。スライドギターでは、オープンEやオープンAチューニングを多用し、「TV Mama」、「Dallas」などの楽曲でその独特のスライドギターの音色が堪能できます。スライドバーには、工事現場で拾った金属パイプを自作して使っていたという逸話も残っています。

まとめ

ジョニー・ウィンターは、ブルースというジャンルに生涯を捧げた偉大なギタリストでした。その卓越した演奏技術、ブルースへの深い理解、そしてアルビノという容姿、様々な要素が彼の個性となり、唯一無二の存在感を放ちました。彼の音楽は、これからも多くの音楽ファンを魅了し続けることでしょう。

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