ジョルジュ・スコット

ジョルジュ・スコット：戦場のリアリズムを描いた報道画家

ジョルジュ・スコット（Georges Scott, 1873年6月10日 - 1943年1月10日）は、フランスで活躍した画家、イラストレーター、そして従軍記者です。特に第一次世界大戦中に描かれた戦争画は、当時の緊迫した状況を伝える貴重な記録として高い評価を受けています。彼はそのキャリアの大部分を占める約47年間、著名な新聞「イリュストラシオン」に作品を掲載し続け、多岐にわたる出来事を視覚的に捉えました。作品には、本名である「ベルタン（Bertin）」を含む署名を用いることもありました。

生い立ちと初期の学び

本名をジョルジュ・ベルタン・スコット・ド・プラニョールといい、1873年にパリの第6区で誕生しました。彼の父、アンリ・ルイ・スコット・ド・プラニョール（1849-1884）もまた、画家、とりわけイラストレーターとして活動しており、父子のキャリアには共通点が見られます。父アンリは、「アンリ・スコット（Henry Scott）」という名義で『ル・モンド・イリュストレ』といった定期刊行物に多くの作品を提供していました。

ジョルジュはパリのエコール・アルザシエンヌで学び、早くから絵画に親しんでいました。1884年に父を亡くした後、パリ国立高等美術学校に進学。その後、著名な画家エドゥアール・デタイユに師事し、技術を磨きました。1897年にはフランス芸術家協会の会員に選ばれています。

報道芸術家としての活躍

父と同様に、ジョルジュもまた報道媒体での活動を積極的に行いました。『ル・モンド・イリュストレ』、『ココリコ』、「イリュストラシオン」といった様々な定期刊行物に作品を寄稿し、19歳となった1892年3月19日には、最初の素描である『アンデルリュの大惨事』が発表されました。その後、彼は雑誌「ジュセトウ」の表紙絵なども手掛けています。

軍事関連の分野にも関わりを持ちました。1911年、陸軍大臣アドルフ・メッシミからの依頼を受け、師であるエドゥアール・デタイユと共にフランス陸軍の制服改良案に関与しました。彼らの提案は最終的に採用されませんでしたが、その一部は1912年3月の「イリュストラシオン」や同年4月28日の「Le Sport universel illustré」などに掲載されています。

戦争の目撃者として

1912年からは、従軍記者としてバルカン半島での紛争を取材するようになります。第一次バルカン戦争ではブルガリア陸軍と行動を共にし、その様子を報道。翌1913年7月には、第二次バルカン戦争のために再びトラキアへ赴き、ギリシャ陸軍の取材を行いました。この際、ギリシャ国王コンスタンティノス1世に謁見する機会を得ています。国王は1913年9月にパリを訪問した際、制作中の自身の騎馬肖像画を見るためにスコットのアトリエを訪れました。この肖像画は翌1914年春にアテネで完成し、現在もアテネ大統領官邸の正面玄関ホールに飾られています。

1914年夏、スコットはオスマン帝国の高官ジェマル・パシャの肖像画制作のためコンスタンティノープル（現在のイスタンブール）に滞在していました。ヨーロッパで戦雲が垂れ込め、動員令が発せられると、彼は急ぎパリへ帰国しました。第一次世界大戦の開戦直後、従軍記者として派遣されたアルザス国境で描いた最初の絵『通らない！（On ne passe pas !）』は、1914年8月8日号の「イリュストラシオン」に掲載され、多くの人々に戦場の現実を伝えました。1916年以降は従軍画家として、前線を描写した多数のプレート、ポストカード用のイラスト、志願兵募集ポスター、兵営劇場でのスケッチなどを精力的に制作しました。これらの功績により、クロワ・ド・ゲール勲章を授与されています。

戦間期から晩年、そして栄誉

第一次世界大戦終結後の戦間期にも、スコットは著名な人物の肖像画を手掛けました。イギリス国王ジョージ5世や、1926年にはイタリアの指導者ベニート・ムッソリーニの騎馬肖像画を描いています。晩年まで報道活動は続き、スペイン内戦や第二次世界大戦の勃発を取材しました。彼が「イリュストラシオン」に最後に掲載した絵は、1939年12月30日号に掲載されています。

その功績は公的にも認められ、1912年にはフランスの最高勲章であるレジオンドヌール勲章の騎士に任命され、1928年には将校へと昇進しました。

ジョルジュ・スコットは1943年にパリでその生涯を閉じました。遺体はモンパルナス墓地の第26区に埋葬されています。

報道と芸術を結びつけ、特に戦場のリアリティを伝える作品によって、彼は時代の証人としてその名を歴史に刻んでいます。

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