ジョン・オブライエン (サッカー選手)

ジョン・パトリック・オブライエン：早咲きの才能と度重なる怪我に苦しんだ名ミッドフィルダー

ジョン・パトリック・オブライエン（John Patrick O'Brien, 1977年8月29日 - ）は、アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス出身の元サッカー選手です。現役時代は主にミッドフィールダー、時には左サイドバックとして活躍しました。

2000年代初頭には、ヨーロッパの強豪クラブであるアヤックス・アムステルダムでレギュラーポジションを獲得し、数々のタイトル獲得に貢献。その卓越した能力は、同胞のランドン・ドノバンやクラウディオ・レイナに匹敵すると評され、ドノバン自身も彼を「アメリカ最高のサッカー選手」と称賛していました。

しかし、脊椎側彎症や度重なる負傷に悩まされ、プロキャリアは短命に終わりました。それでも、彼の才能は多くの人々の記憶に刻まれています。

クラブキャリア

カリフォルニア州プラヤ・デル・レイで育ったオブライエンは、14歳でカリフォルニア・フライヤーズに入団。1992年には、同クラブのコーチの繋がりからアヤックス・アムステルダムを初めて訪問しました。1994年4月には、ブレンウッド学校在籍中にアヤックスのディレクターとアカデミーを率いるコー・アドリアーンセ監督の招待で再びアヤックスを訪問。同年夏には、アヤックス・アカデミーと契約した最初のアメリカ人選手となりました。

アカデミーで研鑽を積む中で、彼はチームの選手権優勝に貢献。その結果、3月4日にトップチームとの3年契約を勝ち取り、アヤックス史上初のアメリカ人選手となりました。モアテン・オルセン監督の計らいで、出場機会を得るため、1998年5月10日にはFCユトレヒトへ1シーズンの期限付き移籍に出されました。

ユトレヒトへの期限付き移籍

ユトレヒトでは、攻撃的ミッドフィルダーとして開幕前に5試合4得点と目覚ましい活躍を見せました。8月31日のSCカンブール・レーワルデン戦（3-0）で早速初得点を挙げ、9月13日には古巣アヤックス相手に得点を記録するなど、その実力を証明しました。オランダのサッカー誌Voetbal Internationalでは、1998-99シーズンの最優秀若手選手で3位、全選手では31位にランクインしました。

しかし、1998年12月につま先を負傷。3週間後に復帰するも怪我が再発し、結局19試合2得点でシーズンを終えることとなりました。

アヤックス復帰

1999年4月5日にアヤックスへ復帰。9月16日のUEFAカップ1回戦で公式戦デビューを飾りました。リーグ戦では、7月19日のRKCヴァールヴァイク戦でアヤックスでの初出場を果たすと、NECナイメヘン戦で初得点を記録。続くハポエル・ハイファFC戦でも先発出場し、FCデン・ボス戦では2アシストを記録するなど、一時期は中盤のポジションを任されるほどの活躍を見せました。

翌2000-01シーズンは、シドニーオリンピックでの負傷によりシーズンの大半を棒に振る結果となりました。しかし、2001年5月のRKCヴァールヴァイク戦で復帰を果たすと、フィテッセ戦で堅実な守備を披露。FCトゥウェンテ戦では、右サイドバックとしてトマーシュ・ガラーセクの得点をアシストするなど、限られた出場機会の中で存在感を示しました。

2001-02シーズンは、怪我に苦しむことなくプレーし、チームの2冠達成に大きく貢献。優勝がかかったNECナイメヘン戦では、アンディ・ファン・デル・メイデの追加点の起点となるパスを供給。さらに、ユトレヒトとのKNVBカップ決勝戦にも出場しました。

しかし、この好調は長くは続かず、怪我に悩まされる日々が続きました。2004-05シーズンはわずか1試合の出場に終わり、2005年2月にクラブとの合意により契約を解除。ADOデン・ハーグと1年半契約を結びました。

キャリア晩年

デン・ハーグでは、怪我からの完全復活を目指しましたが、鼠径部の負傷に苦しみ、わずか3試合の出場に終わりました。その後、アメリカへ帰国し、2006年3月にクラブとの契約を解消しました。

2006年4月4日には、母国のチーヴァスUSAと契約し、MLSで初めてプレーすることになりましたが、またしても負傷に苦しみ、1試合5分のみの出場に終わりました。そして、2006年シーズン終了後にチームから放出されました。

2007年に現役を引退後は、アンティオーク大学で心理学を専攻。その後、心理学の学位を取得し、2012年にはサッカーのB級コーチング資格を取得しました。

代表経歴

U-17代表、U-20代表を経て、1998年4月22日のオーストリア戦でアメリカ代表デビュー。2000年8月16日の2002 FIFAワールドカップ北中米カリブ海予選バルバドス戦では、途中出場からわずか数秒で代表初得点を挙げました。同年には、シドニーオリンピックにも出場し、チームの4位入賞に貢献しました。

1998 FIFAワールドカップでは、本大会メンバーには選ばれず、代替メンバーにとどまりましたが、大会終了後にブルース・アリーナ新監督の下で中盤のポジションを獲得。2002 FIFAワールドカップでは、準々決勝までの全5試合に出場しました。同大会では、グループリーグのポルトガル戦（3-2）で先制点を挙げ、韓国戦でクリント・マティスの得点をアシストしました。

その後、クラブでの負傷により代表から遠ざかっていましたが、2005 CONCACAFゴールドカップのキューバ戦で復帰を果たし、ホンジュラス戦で代表通算3得点目を挙げました。2006 FIFAワールドカップのチェコ戦が、代表最後の試合となりました。

タイトル

代表
CONCACAFゴールドカップ: 2005

クラブ
アヤックス・アムステルダム
エールディヴィジ: 2001-02, 2003-04
KNVBカップ: 2001-02
* ヨハン・クライフ・スハール: 2002

ジョン・オブライエンは、怪我に苦しみながらも、その才能で多くのファンを魅了しました。彼のプレーは、これからも語り継がれるでしょう。

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