ジョン・オーガー

ジョン・オーガー（？ - 1718年没）は、18世紀初頭にカリブ海で活動した海賊です。彼は、ウッズ・ロジャーズ総督による海賊への赦免策が実施された激動の時代に生きました。一度は海賊稼業から足を洗い、合法的な船乗りとして新たな人生を歩み始めましたが、運命は彼を再び非合法の道へと引き戻し、最終的にはかつての仲間であった海賊ハンター、ベンジャミン・ホーニゴールドによって捕らえられ、その生涯を終えました。

彼の経歴は、1718年7月27日にウッズ・ロジャーズが国王ジョージ1世の海賊赦免布告を携えてバハマのプロビデンス島ナッソーに着任したことから始まります。多くの海賊がそうであったように、オーガーもこの機会を利用し、総督に投降して国王の恩赦を受け入れました。ナッソーの新しい総督となったロジャーズは、荒廃した島を再建し、貿易を活性化させることを目指していました。その一環として、彼は商業航海のために複数の船を準備し、赦免された元海賊たちをその船長に任命しました。オーガーもまた、スループ船メアリ号の船長に任じられ、合法的な商船隊の一員として働くことになったのです。

しかし、彼の平穏な日々は長くは続きませんでした。同年10月5日、オーガーのメアリ号を含む3隻の船がキューバのポートプリンスを目指して出帆しました。翌日、船団はグリーン・ケイという無人島に停泊し、数人の乗組員が食料となる動物を狩るために上陸しました。その夜、翌日の出港時間について協議が行われた後、ホワイト船長のスループ船バチェラーズ・アドベンチャー号からフィニーズ・バンスやデニス・マカーティといった男たちがメアリ号に乗り込んできました。彼らはオーガーや他の乗組員と酒を酌み交わし、かつての海賊稼業での豪快な体験談に花を咲かせました。

酒が進むにつれて不穏な空気が流れ始めます。酔ったバンスが、ロジャーズ総督の信任を得て積荷監督を務めていたジェームズ・カーをカトラスで斬りつけたことから口論となり、その間にマカーティは事前に計画していた仲間たちと大船室を制圧しました。それに呼応したバンスがカーに殴りかかり騒ぎが大きくなる中、カーとリチャード・ターンリーがバンスを捕らえようと揉み合いになりましたが、武装したマカーティらによって逆に拘束されてしまいました。この状況を目の当たりにしたオーガーは、驚くべきことに、自ら海賊に加わることを申し出たのです。彼は自らの意思で、再び危険な道へと足を踏み入れてしまったのでした。

海賊一味は投票を行い、カーとターンリーをグリーン・ケイに置き去りにすることを決めました。二人は裸にされ島に放置されましたが、翌朝マカーティが現れ「服を返すから船に戻れ」と声をかけました。安堵した彼らでしたが、船に戻ると一味は気晴らしと称し、合図の笛が鳴るまで殴り続けるという残忍な虐待を加えました。彼らはこの虐待によって、積荷の中に隠されていた貴重品のありかを聞き出しました。虐待と積荷の略奪を終えた後、一味はグリーナウェイ船長を仲間に引き入れようと説得しましたが、彼は断固としてこれを拒否しました。結局、カー、ターンリー、グリーナウェイを含む8名がボートに乗せられ、島に残されました。海賊船が出航の準備を進める中、偶然にもベンジャミン・ハッチンスの海亀漁船が島に到着し、彼も一味に引き入れられました。

一味はロング島へ向かいましたが、そこで遭遇したスペインの私掠船との戦闘で多数の死傷者を出し、船は大きく損傷しました。バンスやハッチンスらはナッソーへ連行されることとなりました。ロジャーズ総督はバンスを即刻絞首刑に処そうとしましたが、彼は負った重傷がもとで刑執行前に死亡しました。総督はグリーン・ケイに置き去りにされた者たちの救助と、ロング島に残る海賊たちの捕獲のため、直ちに船団を手配しました。この頃、ロジャーズはかつての海賊であったベンジャミン・ホーニゴールドやジョン・コックラムらを海賊追討の任に就かせ、悪名高きチャールズ・ヴェインの捕縛を試みていました。ヴェインの逮捕には至らなかったものの、ホーニゴールドらは彼と通じていたニコラス・ウッドオールを捕縛していました。

ロジャーズは、この経験豊富な海賊ハンターであるホーニゴールドをオーガー一味の追跡・捕縛の指揮官に任命しました。さらに、グリーン・ケイで辛くも救助されたばかりのリチャード・ターンリーを彼の船の乗組員に加えて、ロング島へ派遣しました。ホーニゴールドはオーガー一味と顔見知りではない乗組員たちをボートで送り出し、巧みに海賊たちを船におびき寄せました。船に乗り込んできたオーガー一味は、船内でかつての仲間であるホーニゴールド、そして自分たちが島に置き去りにしたはずのターンリーを目にし、愕然とします。抵抗むなしく、オーガーを含む一味は捕縛され、プロビデンス島へ連行されました。

プロビデンス島で行われた裁判の場で、オーガーはバンスらが海賊行為を企んでいるとは知らなかったと弁明しましたが、それを裏付ける証言は得られませんでした。裁判の結果、9名に死刑判決が下され、1718年 12月12日にオーガーを含む8名が刑に処されました。この裁判には、かつて海賊であったジョサイア・バージェスも裁判官の一人として関わっていました。キャプテン・チャールズ・ジョンソンの『海賊史』は、オーガーが処刑直前に罪を深く悔い、刑に臨むまで身なりを整えずにおり、刑場である城壁の上で受け取ったワインを「バハマ諸島と総督に栄光あれ！」と叫んで飲み干したと伝えています。死刑を宣告された一味の中で、ジョージ・ラウンズヴィルただ一人がロジャーズ総督の温情により刑を免れました。しかしその後、ラウンズヴィルは裁判官を務めたバージェスの私掠船に乗り組んだものの、皮肉なことに、その船はグリーン・ケイ付近で座礁し、バージェスと共に命を落とすことになったのでした。

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