グリネル大学

グリネル大学について

グリネル大学は、アメリカ合衆国アイオワ州グリネルに位置する私立のリベラルアーツカレッジです。1846年に会衆派教会によってアイオワ・カレッジとして設立され、その後1909年に現在のグリネル大学へと改称されました。高等教育委員会（HLC）の認定を受けており、その教育水準の高さが認められています。

約1,700人の学生に対して、20億ドルという巨額の寄付金を背景に、教員と学生の比率を9:1に保ち、ほとんどの授業が20人未満という少人数制教育を徹底しています。これは、リベラルアーツカレッジの大きな特徴であり、学生一人ひとりに手厚い教育を提供するための重要な要素となっています。アイオワ州で最も優れたリベラルアーツカレッジの一つとして、また「ヒドゥン・アイビー」としても知られ、USニューズ&ワールド・レポート誌の大学ランキングでは常にトップ15にランクインしています。

2023年度の合格率は11%と、全米でも有数の難関大学であり、その入学は非常に狭き門となっています。

歴史

1830年、会衆派教会の牧師アサ・ターナーがアイオワ州に入植し、東海岸の本部に伝道師の派遣を要請したことが、グリネル大学の歴史の始まりです。ターナーの呼びかけに応じた11人の伝道師が「アイオワ・バンド」を結成し、アイオワ州にやってきました。その後、1846年にアイオワ会衆派教会の年次大会でアイオワ・カレッジの創立が決定され、基金集めが始まりました。

1848年、アイオワ・カレッジはダベンポートで開校しましたが、その後すぐにグリネルに移転しました。移転後、非公式にグリネルと呼ばれるようになり、1909年に正式にグリネル大学と改称されました。

開校当初は、南北戦争の影響で学生や教職員が多数失われるという困難にも直面しましたが、戦後、女子学生の受け入れや自然科学分野の導入により、大学は再び成長軌道に乗りました。1865年には初の女子卒業生、1879年には初のアフリカ系卒業生を輩出しました。

1882年には竜巻がグリネルの町を襲い、大学キャンパスも甚大な被害を受けましたが、その直後から再建に取り組み、教育課程もさらに拡充されました。

19世紀末には、ジョージ・オーガスタス・ゲイツ学長の下、大学が社会的福音運動の中心地となり、応用キリスト教神学部門が創設されました。

20世紀に入ると、カーネギー図書館やヘリック礼拝堂が建設され、1916年にはアメリカ国外留学プログラムの先駆けとなるグリネル・イン・チャイナが設立されました。女子寮も整備され、全米的なモデルとなりました。また、後のフランクリン・ルーズベルト政権下で重要な役割を担ったハリー・ホプキンスなど、多くの著名な卒業生を輩出しました。

第二次世界大戦後も、グリネル大学は社会の要請に応じて進化を続けました。1959年には実践的政治学教育プログラムが創設され、多くの政治家が訪れました。1967年には、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアが学内で講演を行いました。1987年には、グリネル・イン・チャイナが南京大学との交換留学提携という形で復活しました。2010年には、社会正義若手革新者賞が創設されました。

キャンパスと施設

グリネル大学のキャンパスは、デモインとアイオワシティの中間に位置するグリネルという小さな大学町にあります。キャンパス内には、様々な建築様式の建物が68棟あり、そのうち2棟が国家歴史登録財に指定されています。キャンパスの西側には、歴史的建築物が多く残るノース・グリネル歴史地区が広がっています。

学生寮はキャンパスの北、南、東の3ヶ所に集中しており、ケンブリッジ大学やオックスフォード大学の学寮をモデルにしたものや、LEED認証を受けた近代的なものなどがあります。

研究・教育施設はキャンパスの南西部に集中しており、スポーツ施設はキャンパス北東部に位置しています。

キャンパス外には、大学が所有する管理部門の事務所や学生用住居もあります。また、メインキャンパスから離れた場所には、生物学部門の野外研究施設であるコナード環境研究園があります。

学術と教育

グリネル大学のカリキュラムは非常に柔軟で、学生は自分の興味や関心に合わせて自由に科目を選択できます。全学生が必修となるのは、「1年次チュートリアル」のみで、これは少人数制の授業で、ディスカッションや作文を通して学問に必要なスキルを身につけるためのものです。

学生は2年次までに専攻を決定し、その後は専攻分野の教授がアカデミックアドバイザーとなります。

グリネル大学は他大学との提携も積極的に行っており、カリフォルニア工科大学、コロンビア大学、レンセラー工科大学、ワシントン大学（セントルイス）との間で、5年間で両大学の学位を取得できるデュアル・ディグリー・プログラムを提供しています。また、ダートマス大学とも同様のプログラムがあり、アイオワ大学とは公衆衛生学分野で提携プログラムがあります。

ワシントンD.C.のアメリカン大学との間には、グリネル・イン・ワシントンというプログラムがあり、ワシントンでのインターンシップを経験することができます。

国際的な提携も盛んで、世界45ヶ国に105の国外留学プログラムがあり、多くの学生が留学を経験しています。中西部大学連盟（ACM）にも加盟しており、早稲田大学との日本研究留学プログラムにも参加しています。

ランキングと入試

グリネル大学は、ヒドゥン・アイビーとして知られ、USニューズ&ワールド・レポート誌のランキングでは常にトップ15に入っています。入学難易度も非常に高く、合格者のSATのスコアは1320-1530点、ACTは30-33点となっています。2023年度の合格率は11%でした。併願校としては、カールトン大学、マカレスター大学、セントオラフ大学、オーバリン大学などが挙げられます。

グリネル大学は、少人数制教育、柔軟なカリキュラム、そして豊かな国際経験を提供することで、学生の成長をサポートし、社会に貢献できる人材を育成しています。

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