ジョン・サクソン

ジョン・サクソン：多彩な才能で魅せた映画俳優の軌跡

ジョン・サクソン（John Saxon, 本名: Carmine Orrico, 1936年8月5日 - 2020年7月25日）は、アメリカ・ニューヨーク州ブルックリン出身の映画俳優であり、監督としても活動しました。その身長175cmの均整の取れた体躯と、確かな演技力で、長年にわたり映画ファンを魅了しました。

多様な役柄を演じ分けた俳優としてのキャリア

1955年、20歳で俳優としてのキャリアをスタートさせたサクソンは、当初ドラマーとしての音楽活動と並行して映画やテレビシリーズに出演していました。しかし、次第に俳優業が本職となり、ブレーク・エドワーズ、オットー・プレミンジャー、ジョン・ヒューストンといった巨匠監督たちの作品にも出演。その演技の幅広さから、様々な役柄を演じることができました。

特に、『燃えよドラゴン』（1973年）や『エルム街の悪夢』（1984年）などのカルト的な人気を誇る作品への出演は、サクソンの知名度を世界的なものにしました。また、イタリア映画への出演も多く、『ビッグ・マグナム77』（1976年）や『地獄の謝肉祭』（1980年）、『片腕サイボーグ』（1985年）など、ジャンルを問わず幅広い作品で活躍しました。

1985年には『地獄のデスプリズン』で監督業にも挑戦し、主演も務めました。キャリア初期には二枚目俳優として知られていましたが、1960年代後半からは悪役や敵役を演じるようになり、その演技の幅をさらに広げました。テレビ映画にも多数出演し、『夜空の大空港』（1966年）や『イスタンブール特急』（1968年）、『特攻サンダーボルト作戦』（1976年）などが知られています。

『燃えよドラゴン』でのブルース・リーとの共演

サクソンのキャリアにおいて、最も重要な作品の一つがロバート・クローズ監督による香港との合作映画『燃えよドラゴン』（1973年）です。この作品でブルース・リーと共演し、二番手というポジションながらも、その存在感を強く示しました。当時、キャリアの停滞期にあったサクソンにとって、『燃えよドラゴン』への出演は大きな転機となり、後半生の大きな財産となりました。

しかし、その人気ゆえに、サクソンは一時期、ブルース・リーのことばかり聞かれることにノイローゼになったとされています。また、『燃えよドラゴン』の撮影現場で撮ったリーとのスナップ写真をペンダントにして販売したことで、批判を浴び、再びノイローゼに陥ったというエピソードも残っています。

イタリア映画での活躍

イタリア映画にも多数出演しており、1960年代から1990年代にかけて、主役から悪役、脇役まで幅広い役柄を演じました。マリオ・バーヴァ監督の『知りすぎた少女』（1963年）や、オットー・プレミンジャー監督の『枢機卿』（1963年）などに出演しています。また、エンツォ・G・カステッラーリ監督の『西部の三悪党』（1968年）では主演を務めました。

1970年代には、『特攻警察』（1975年）や『マフィア/血の掟』（1978年）、『ビッグ・マグナム77』（1976年）などの犯罪アクション映画に出演。1980年代には、『地獄の謝肉祭』（1980年）や『シャドー』（1982年）、『死霊の暗殺/エトルスカン』（1984年）、『片腕サイボーグ』（1985年）などのホラー映画やアクション映画で活躍し、その存在感を再び示しました。1990年代には、マカロニ・ウエスタンが復活し、カステッラーリ監督の『熊のジョナサン』（1994年）にも出演しました。

2010年には、マルゲリーティが第二班監督を務めたテレビ・ミニシリーズ『ジンギス・カン/生涯の物語』に出演しました。この作品は1991年から製作が開始され、約19年の歳月を経て完成しました。

晩年と死

ジョン・サクソンは、2020年7月25日にテネシー州で肺炎により死去しました。84歳でした。その長いキャリアの中で、数々の作品で記憶に残る演技を披露し、映画史にその名を刻みました。

主な出演作品（一部）

映画
『燃えよドラゴン』（1973年）
『エルム街の悪夢』（1984年）
『ビッグ・マグナム77』（1976年）
『地獄の謝肉祭』（1980年）
『片腕サイボーグ』（1985年）

テレビ
『夜空の大空港』（1966年）
『イスタンブール特急』（1968年）
『特攻サンダーボルト作戦』（1976年）

参考文献

双葉十三郎著『ぼくの採点表』

外部リンク

ジョン・サクソン - allcinema
ジョン・サクソン - KINENOTE
John Saxon - IMDb

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