ジョン・バリモア

ジョン・バリモアの生涯とキャリア

ジョン・バリモア（John Barrymore）は、1882年2月15日、アメリカ・ペンシルベニア州フィラデルフィアに生まれた。彼の本名はジョン・シドニー・ブライズ（John Sidney Blyth）で、バリモア家は舞台俳優を多く輩出している演劇一家である。兄ライオネル・バリモア、姉エセル・バリモアと共に「バリモア三兄弟」として知られ、映画界においても大きな足跡を残した。さらに、彼の孫娘であるドリュー・バリモアも有名な女優として知られている。

初期のキャリア

ジョンは当初、画家を志望していた。パリの美術学校で学び、ニューヨークでは漫画を描く仕事に従事していた。しかし、23歳の時に舞台での演技に魅了され、本格的に俳優への道を歩み始める。彼のブロードウェイデビューは1909年の『The Fortune Hunter』で、この作品のヒットを契機に人気俳優としての地位を確立した。さらに、1914年には映画界に進出し、『An American Citizen』に出演した。

演技のスタイルと代表作

「偉大な横顔」と称された端正な外見を持つバリモアは、その美しい容貌だけでなく、舞台経験を生かした高い演技力でも知られていた。彼はロマンティックなメロドラマから、狂気を漂わせる役柄まで、多彩なキャラクターを演じた。1926年の『ドン・ファン』や、1927年の『マノン・レスコウ』などはその代表的な作品である。

特に、1922年に主演した『ハムレット』は大評判を博し、人気の一因ともなった。この舞台作品は当時の最長上演記録を築く成果を上げた。1920年代後半からは映画に専念し始め、華やかな時代を迎えた。

後のキャリアと私生活

1930年代に入ると、バリモアは彼の兄が在籍していたMGM社に移籍し、映画『グランド・ホテル』（1932年）に出演するなどした。しかし、若い頃からの過度の飲酒の影響が彼のキャリアに暗い影を落とすことになった。50歳を超えたころには華やかな二枚目役のオファーが減り、次第に脇役としての出演が増えていった。

晩年には、B級映画に出演し、自身をパロディ化した役柄を演じるなどしていた。また、4度の結婚はすべて失敗に終わり、苦しい生活の中で彼は60歳という若さでこの世を去った。

バリモアは、女優ドロレス・コステロとの間に息子ジョン・ドリュー・バリモアをもうけ、その子は後に俳優としての道を歩んだ。ドリュー・バリモアもまた、彼の孫娘として映画界に名を刻む存在になった。

主な出演作品

ジョン・バリモアの主な映画作品には、『ドン・ファン』（1926年）、『海の野獣』（1926年）、『グランド・ホテル』（1932年）などがある。彼の多才な演技力と魅力は、今なお多くの映画ファンに愛され続けている。バリモアの生涯は、映画や舞台での演技を通じて、多くの人々に感動を与えた。そのキャリアと彼の残した作品は、俳優という職業の可能性の広がりを示すものであり、後世の俳優たちに大きな影響を与え続けている。

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