ジョン・フレデリック・チャールズ・フラー

ジョン・フレデリック・チャールズ・フラーの生涯と業績

ジョン・フレデリック・チャールズ・フラー（1878年9月1日 - 1966年2月10日）は、イギリスの陸軍軍人であり、著名な軍事学者、さらにはファシズム活動家として知られています。彼は陸軍戦術の研究と機甲戦の発展に寄与し、電撃戦理論の先駆者となりました。

幼少期と教育

フラーはイングランドのチチェスターで生まれ、サンドハースト王立士官学校を卒業しました。1898年には少尉としてオックスフォードシャー軽歩兵第1大隊に配属され、その後もアレイスター・クロウリーの弟子として知られるようになりました。

軍歴と第一次世界大戦

ボーア戦争に従軍したフラーは、健康問題から直接の戦闘には参加せず、情報将校として活動しました。戦後、参謀将校として第一次世界大戦に従軍し、少佐に昇進しました。この時期には、指揮官教育課程の体系化に貢献し、イギリス陸軍の教育の基盤を築いています。彼は1916年に戦車部隊の作戦将校として配属され、戦車に関する教範の作成や作戦計画にも関与しました。また、1917年のカンブレーの戦いで戦車を主力部隊とした攻勢作戦を計画しました。

フラーは第一次世界大戦中、「戦いの原則」についての研究を進め、1916年にはその概要を匿名で論文として提出しました。この研究は1921年に「野外要務令」としてまとめられ、後の軍事戦略に大きな影響を与えました。

戦後のキャリアと思想

戦後、フラーは陸軍省に勤務し、戦車に関する戦闘教義の研究を続けましたが、彼の提案は当時の政治的背景や軍隊内の反発により、多くが受け入れられませんでした。彼は1922年には陸軍大学校の主任教官としての地位に就きましたが、装甲実験部隊が立ち上げられた際には自身が遠ざけられることとなりました。さらには1927年、ボンベイ軍管区司令官の任命を拒否し、反発を招きました。

ファシズム活動と後年の業績

フラーはその後、軍事問題だけでなく哲学や魔術についても多くの著作を残しました。また、オズワルド・モズレーの英国ファシスト連盟に参加し、1935年には政治選挙にも出馬しました。彼のファシズムへの参加は、民主主義下では大胆な軍事改革が実現できないとの信念から来ていました。

フラーの機甲戦理論は、本国イギリスでは軽視されましたが、ハインツ・グデーリアンを介してドイツ軍で発展することになります。1935年にはドイツ国防軍の軍事演習に外国人として初めて参加し、1939年にはアドルフ・ヒトラーの誕生日パレードに招待されます。この際、彼は完全に機甲化された部隊に圧倒されました。

第二次世界大戦開戦時にはイギリスの参戦に反対し、平和の解決を支持しましたが、その姿勢から公然と親ナチ派と見なされました。また、親ナチ派の海軍大将バリー・ドンヴィルと共に、クーデター計画を練るなど、物議を醸しました。

戦後もフラーはファシズムや親枢軸の考えを変えず、1961年に出版した『The Conduct of War』ではヒトラーを擁護しました。彼は間違った側が勝利したと考え、当時の指導者たちを厳しく批判しています。

結末

フラーは1966年に生涯を閉じました。その業績は、戦術の発展に多大な影響を与え、戦車戦の理論をはじめとする彼の考え方は、後の世代に受け継がれました。彼の生涯は一つのユニークなストーリーであり、軍事史の中でも特異な存在として記憶されています。

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