ジョン・ブリシディース

ジョン・ブリシディース（John Matthew Vlissides, 1961年8月2日 - 2005年11月24日）は、ソフトウェア科学の世界で傑出した足跡を残した人物です。彼は、特にソフトウェアのデザインパターンに関する画期的な書籍『オブジェクト指向における再利用のためのデザインパターン』（通称「Gang of Four」）の共著者の一人として、その名を知られています。この書籍は、ソフトウェア開発における設計の原則とパターンを体系的にまとめたもので、今日のソフトウェアエンジニアリングの基礎を形成する上で重要な役割を果たしました。

ブリシディースは、その謙虚な人柄でも知られており、自身を「Gang of Fourの4番目」と自称していました。これは、彼が他の著者たちとの共同作業を尊重し、決して独りよがりな態度を取らなかったことを物語っています。彼は、バージニア大学とスタンフォード大学で電気工学を学び、1976年以降は、ソフトウェアエンジニア、コンサルタント、リサーチアシスタントとして、主にスタンフォード大学でキャリアを積みました。その後、1991年からは、ニューヨーク州ホーソーンにあるIBM T.J. Watson Research Centerに研究スタッフとして所属し、研究活動に専念しました。

ブリシディースの研究領域は多岐にわたり、特にオブジェクト指向技術、デザインパターン、そしてソフトウェアモデリングに重点を置いていました。彼は、これらの分野で数多くの書籍、雑誌記事、カンファレンスペーパーを執筆し、さらに複数の特許を取得しています。彼の著作は、ソフトウェア開発の現場で働くエンジニアたちにとって、欠かすことのできない指針となり、多くの開発プロジェクトに影響を与えました。

ブリシディースは、脳腫瘍による合併症との長い闘病生活の末、2005年の感謝祭の日の午前1時30分に、その生涯を閉じました。彼の死は、ソフトウェア科学コミュニティに大きな衝撃を与え、多くの人々が彼の功績を偲びました。

ブリシディースの死後、彼の友人であるウォード・カニンガムとグラディ・ブーチは、ブリシディースの未亡人であるドゥルーアンが、彼の逸話を求めていることをブログで伝え、ウィキに設置されたブリシディースのページへの投稿を呼びかけました。この呼びかけに応じ、マーティン・ファウラーやリチャード・ヘルムといった、ブリシディースと親交のあった多くの友人や関係者が、彼に関するエピソードや思い出を投稿しました。これらの投稿は、ブリシディースが単なる優れたソフトウェア科学者としてだけでなく、多くの人々に愛され、尊敬されていた人物であったことを如実に物語っています。

関連情報

外部リンク
IBMにおけるジョン・ブリシディースのウェブサイト
Selected publications
ブリシディースの履歴書 (PDFファイル)
ワシントン・ポストの死亡記事
ジョン・ブリシディースのウィキ

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