ジョン・マッデン (アメリカンフットボール)

ジョン・マッデン：アメリカンフットボール界の伝説

ジョン・アール・マッデン（1936年4月10日 - 2021年12月28日）は、アメリカンフットボール界において、指導者、解説者として多大な功績を残した人物です。ミネソタ州オースティンで生まれ、その情熱と知識で多くのファンを魅了し、2006年にはプロフットボール殿堂入りを果たしました。

選手としての短いキャリア

1958年のNFLドラフトで、マッデンはフィラデルフィア・イーグルスから21巡目で指名を受けました。しかし、残念ながら怪我のため、選手としてのキャリアは1年で幕を閉じることとなりました。

指導者としての才能

マッデンの真価が発揮されたのは、指導者としての道でした。1967年、AFL（後のNFL）のオークランド・レイダースでラインバッカーコーチに就任。1969年には、当時史上最年少となる32歳でヘッドコーチに抜擢されました。1978年までの10年間で、第11回スーパーボウルを制覇。レギュラーシーズンの通算成績は103勝32敗7分、勝率.750という驚異的な数字を記録しました。これは、100勝以上を挙げたヘッドコーチの中で最も高い勝率です。プレイオフを含めても112勝39敗7分であり、伝説的な名将ヴィンス・ロンバルディに次ぐ成績を誇ります。

解説者としての成功

1979年、マッデンはCBSで解説者としての新たなキャリアをスタートさせました。1981年には、実況のパット・サマロールとのコンビでNo.1に昇格。以来、全米No.1の人気を誇る解説者として活躍しました。1994年には、NFCの放映権がCBSからFOXに移るとともに、サマロールと共に移籍。2002年にはABCに移籍し、アル・マイケルズとコンビを組み、マンデーナイトフットボール（MNF）を担当しました。ABCのNFL中継からの撤退後、2006年からはアル・マイケルズと共にNBCに移籍し、サンデーナイトフットボール（SNF）を担当。これにより、全米4大ネットワーク全てで解説を務めた初のスポーツアナリストとなりました。

エミー賞のスポーツ解説者部門では、16回もの受賞を果たし（1981-1982、1986-1992、1994-1995、1998-1999、2003、2005、2007年）、2010年には功労賞を受賞。プロフットボール殿堂入りに先立ち、2002年にはテレビ・ラジオを通じてNFLに貢献した人物に贈られるピート・ロゼール・ラジオ&TV賞を受賞しています。

飛行機恐怖症と「マッデン・クルーザー」

マッデンは、重度の飛行機恐怖症であったため、シーズン中は「マッデン・クルーザー」と呼ばれる大型バスを改造したキャンピングカーで全米を移動していました。そのため、ハワイ州ホノルルで行われるプロボウルの解説を担当することは一度もありませんでした。

フットボール解説を始めて以来、476週にわたり連続出演を果たしていましたが、2008年10月19日のSNF・シアトル・シーホークス対タンパベイ・バッカニアーズ戦で、初めて出演をキャンセルしました。

引退とその後

2009年4月16日、マッデンは30年に渡る解説者生活からの引退を表明しました。最後の解説は、第43回スーパーボウルでした。彼の引退に対しては、NFLコミッショナーのロジャー・グッデルや、実況を共にしたアル・マイケルズなど、多くの関係者から惜しむ声が寄せられました。

1988年以降毎年、彼が監修したテレビゲーム「マッデンNFL」が発売され、現在も多くのファンに親しまれています。また、その年最も優秀なオフェンスラインマンのユニットに与えられるマッデン・プロテクターズ・アワードが2011年シーズンより創設され、最初の受賞ユニットはドリュー・ブリーズのシーズンパスNFL記録樹立に貢献したニューオーリンズ・セインツのユニットが選ばれました。

ジョン・マッデンは、2021年12月28日に逝去されました。彼の情熱、知識、そしてユーモアは、アメリカンフットボール界に永遠に語り継がれることでしょう。

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