ジョン・モークリー

ジョン・ウィリアム・モークリーとは

ジョン・ウィリアム・モークリー（1907年8月30日 - 1980年1月8日）は、アメリカの物理学者であり、コンピュータ技術の先駆者として知られています。彼はジョン・プレスパー・エッカートと共に、世界初の汎用電子デジタル計算機ENIACや、商業コンピュータUNIVAC Iの設計を行い、計算機科学における重要な概念を広めました。これにより、彼らはデジタル革命を先導し、今日のコンピュータ社会の基盤を築くこととなりました。

若年期と教育

モークリーはオハイオ州シンシナティにて誕生し、メリーランド州チェビー・チェースで育ちました。彼は幼少期から科学に興味を持ち、特に電気に関心を寄せていました。ワシントンDCのマッキンリー技術高校では、非常にアクティブに活動し、奨学金をたしかにしてジョンズ・ホプキンス大学に進学しました。そこで物理学を学び、1932年には博士号を取得。その後、同大学で研究助手として働き、アーサイナス大学の物理学科長としてキャリアを積むこととなります。

ムーア・スクールでの活動

1941年、モークリーはムーア・スクールで電気工学の防衛訓練プログラムに参加し、その後エッカートと出会い、長年の共同研究が始まりました。1942年には汎用電子計算機の提案を行い、その後のENIACプロジェクトの契機となります。このプロジェクトは、陸軍との契約により実現され、モークリーは概念設計を主導し、エッカートがハードウェアエンジニアリングを担当しました。ENIACは当時の技術に比べ約1000倍の計算速度を誇り、コンピュータの歴史に名を刻むことになりました。

ENIACとEDVAC

ENIACの完成後、モークリーとエッカートはさらに進化したコンピュータ、EDVACの開発を開始しました。EDVACではプログラム内蔵方式が導入され、フォン・ノイマンの関与により「ノイマン型アーキテクチャ」が誕生しました。これにより、コンピュータ設計における新たな理論的枠組みが形成され、モークリーとエッカートはその功績から登録抹消の問題にも直面しますが、彼らの理念は広く受け入れられるようになりました。

コンピュータ会社の設立

1947年、モークリーとエッカートはエッカート・モークリー・コンピュータ（EMCC）を設立し、これが世界初のコンピュータ会社となりました。彼らはUNIVAC Iの設計を進め、大容量記憶装置や新たな技術を取り入れた商業用コンピュータを世に送り出します。この過程で、モークリーはプログラミングの重要性を認識し、実用的なプログラミング言語の開発に取り組みます。

後の業績

モークリーは1959年にEMCCを退職し、その後Mauchly Associates, Inc.を設立します。ここでもコンピュータ技術の普及に努め、自動建設スケジューリング手法であるクリティカルパス法の開発など、多様な業績を残しました。また、彼はコンピュータ関連の団体にも参与し、業界の発展に貢献しました。

私生活と死

モークリーの私生活は複雑であり、最初の妻は早逝しましたが、後にENIACプログラマだったキー・マクナルティと再婚しました。モークリーは1980年、ペンシルベニア州で心臓手術中に亡くなりました。

受賞歴

生涯にわたり多くの賞を受賞し、全米発明家殿堂にも名を馳せるなど、数々の業績が評価されています。彼の功績は、コンピュータ技術の発展だけでなく、科学全般においても大きな影響を与えました。

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