ジョン・ワトソン (レーサー)

ジョン・マーシャル・ワトソン (John Marshall Watson)

ジョン・マーシャル・ワトソンは、1946年5月4日に北アイルランドで誕生した元レーシングドライバーであり、愛称は「ワッティ」です。彼のF1キャリアは1973年に始まり、長い間モータースポーツ界で影響を与えた存在です。

F1キャリアの始まり

1973年、ワトソンはブラバムのプライベートチーム、ゴールディ・ヘキサゴンレーシングからF1デビューを果たしました。このデビュー年は2レースのみの参加でしたが、翌年からはフルシーズン参戦となります。当時のヘキサゴン・ブラバムは競争力に欠けていましたが、彼は3回の入賞を果たし、その実力を示しました。しかし、ブラバムの正規ドライバーシートはカルロス・パーチェに取られてしまいます。

1975年にはサーティースに移籍しますが、このチームの競争力不足もあり、最高位は第4戦のスペイングランプリでの8位に終わりました。その後、第11戦では一時的にロータスに乗り、その後ペンスキーに加入します。

ペンスキーでの成功

1976年、ペンスキーへの移籍後、彼のF1キャリアは新たな展開を迎えました。シーズン中盤に新車のペンスキー・PC4が投入されると、ワトソンは連続で表彰台に上がり、第11戦オーストリアGPで自身にとってもペンスキーにとってもF1初優勝を達成しました。この勝利を機に、ペンスキーはコンストラクターズ選手権で5位に入賞しました。

1977年からはブラバムに移籍しますが、同年のモナコグランプリでポールポジションを獲得するなど健闘しました。しかし、彼は表彰台の頂点には届かず、パーチェの悲劇的な事故にも直面します。翌年、彼は再びブラバムにとどまり、ニキ・ラウダともチームメイトとして活動しましたが、結局表彰台はイタリアGPの2位に留まりました。

マクラーレン移籍と再起

1979年にワトソンはマクラーレンへ移籍しますが、その当初は新車の競争力に恵まれず、1980年にはアラン・プロストに押され気味でした。しかし、1981年からは新しいカーボンファイバー製のマシンが導入され、ワトソンは第9戦のイギリスGPで5年ぶりの勝利を収めました。この活躍により彼は再び脚光を浴びることになります。

1982年のチャンピオン争い

1982年、ワトソンは自身のキャリアで最も素晴らしいシーズンを迎えます。ニキ・ラウダと再びチームメイトになり、彼は2勝を挙げ、一時はチャンピオン争いに絡む存在となりました。しかし、シーズン終盤に失速し、最終的にはランキング3位でシーズンを終えました。

F1から引退後

1984年には一時休養を経て、1985年にトールマンと契約しF1に復帰しましたが、そのシーズンは数戦欠場という結果に終わりました。彼はマクラーレンに一戦のみ復帰し、それが最後のF1レースとなります。通算成績は154戦で5勝を記録しました。

引退後はレース解説者として活動を開始し、F1の新規参戦チームであるジョーダンの初のシェイクダウン走行にも携わりました。彼のモータースポーツに対する知見は現在でも評価されています。

評価と影響

ワトソンは「玄人好み」のドライバーとされるほど、レース運びに秀でており、完走率も非常に高い選手でした。特に予選で劣勢からの逆転勝利は、多くのファンの記憶に残っています。また、彼は北アイルランド出身であり、地域的な背景が彼のキャリアにも影響を与えました。ワトソンは多くの人から敬愛される存在であり、その実績は今でも多くのファンに語り継がれています。

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