ジョヴァンニ・デッレ・バンデ・ネーレ

ジョヴァンニ・デッレ・バンデ・ネーレ（Giovanni dalle Bande Nere）は、1498年4月6日に生まれ、1526年11月30日に亡くなった、イタリアの傭兵隊長（コンドッティエーレ）です。彼はメディチ家の一員であり、初代トスカーナ大公コジモ1世の父としても知られています。本名はジョヴァンニ・デ・メディチと言います。

生涯

ジョヴァンニは、メディチ家の傍系ジョヴァンニ・イル・ポポラーノと、女傑として知られるカテリーナ・スフォルツァの間に、フォルリで生まれました。彼はフォルリ・イーモラの僭主オッタヴィアーノ（リアーリオ家）の異父弟にあたります。

幼少期に両親を相次いで亡くしたジョヴァンニは、親類のレオ10世のもとで軍人としての訓練を受けました。その後、教皇軍の指揮を執り、イタリア戦争では神聖ローマ皇帝カール5世の皇帝軍に対して、その勇猛さを示しました。その活躍から、彼は後年「ルネサンス最後の傭兵隊長」と称えられました。

18歳でロレンツォ・デ・メディチの孫娘であるマリア・サルヴィアティと結婚し、息子コジモ（後のコジモ1世）を授かりました。

レオ10世が亡くなった際、哀悼の意を表して、ジョヴァンニは自身の記章に黒い帯を付け加えました。これがきっかけとなり、彼は「バンデ・ネーレ（黒い帯）」という通称で呼ばれるようになりました。彼の率いる部隊は、全員が黒い絹のリボンを身に着け、槍にも黒の槍旗を掲げていました。そのため、日本語では「黒隊長」、「黒旗」、あるいは「黒備えのジョヴァンニ」とも訳されます。

1526年、マントヴァ近郊のカステル・ゴッフレードでの戦闘中、ジョヴァンニは砲弾によって右足を砕かれる重傷を負いました。その傷がもとで敗血症を発症し、命を落としました。彼の死から半年後、ローマ略奪が起こった時、人々は「もし彼が生きていたら、このような事態にはならなかっただろう」と嘆いたと言われています。

格言

ジョヴァンニは、その生涯において数々の格言を残しています。その中でも特に有名なものに以下のものがあります。

「理（ことわり）なくして剣を抜かず、徳なくして剣を握らず」
（Non mi snudare senza ragione, non m'impugnare senza varore）
「私が前に進む時は、皆私についてこい。もしも私が退（ひ）こうとしたら、私を殺せ！」

これらの言葉は、彼の武勇と高潔な精神を表しているとされています。

登場作品

ジョヴァンニの生涯は、映画の題材にもなっています。

* 映画：『ジョヴァンニ』（2001年、イタリア、監督：エルマンノ・オルミ、主演：クリスト・ジフコフ）

この映画は、ジョヴァンニの生涯を描いた作品であり、彼の人間性や生き様を知る上で重要な手がかりとなります。

まとめ

ジョヴァンニ・デッレ・バンデ・ネーレは、ルネサンス期のイタリアにおいて、その武勇とカリスマ性で名を馳せた傭兵隊長です。彼の生き方は、多くの人々に影響を与え、今日でもその名が語り継がれています。

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