ジョージア＝ロシア国境

ジョージア＝ロシア国境について

ジョージアとロシアの国境は、長さ約894キロメートルに及びます。西は黒海沿岸から始まり、大コーカサス山脈に沿って進み、東はアゼルバイジャンとの接点まで達します。ジョージア側では、この国境線を法的に認識しており、伝統的にはヨーロッパとアジアの境界と考えられています。しかし、2008年にロシアがジョージア国内の自治共和国であるアブハジアと南オセチアの独立を承認すると、実質的に国境は4つの部分に分かれることとなりました。

西から順に、アブハジア＝ロシア国境、ジョージア＝ロシア国境（アブハジアと南オセチアにまたがる）、南オセチア＝ロシア国境、南オセチアとアゼルバイジャンの間のジョージア＝ロシア国境がそれにあたります。国際社会の多くの国々は、アブハジアと南オセチアの独立を認めておらず、これらの地域は依然としてジョージアの一部と見なされています。

歴史的背景

この国境線の形成過程は非常に複雑で、19世紀にさかのぼります。当時、オスマン帝国やペルシャ帝国とロシア帝国がコーカサス地域の支配を巡って激しい争いを繰り広げていました。ロシア帝国は、1784年にウラジカフカスの基地建設を開始し、その後、1801年に東ジョージアのカルトリ・カヘティ王国を、1804年には西ジョージアのイメレティ王国を併合しました。この時期にコーカサス山脈に沿った国境線が設定され、現代の国境に近い形になりました。

アブハジアは1810年に半自治州として設立され、その後の国境確定において重要な役割を果たしました。1904年までには、その西部の境界線が変更され、地域の独立性を確保しようとする動きが見られました。さらに、1917年のロシア革命を経て、コーカサスの人々は分離独立を求め、ザカフカース民主連邦共和国の建国を宣言しました。この過程で、アブハジアも一定の自治を認められましたが、ジョージアとの関係は常に緊張していました。

現代の国境状況

1991年のソ連崩壊以後、ジョージアとアブハジア、南オセチアの間での対立が激化しました。アブハジアと南オセチアにおける独立宣言はジョージアにとって受け入れがたいものであり、以降の紛争はこの国境の確定に大きな影響を与えています。特に、2008年には南オセチアにおける緊張が高まり、ロシアとの戦争に発展しました。この結果、ロシアは南オセチアとアブハジアの独立を承認し、国境の画定に関する交渉は終了しました。

近年では、国境を巡る争いが続いており、国境通過点も限られた場所に集中しています。現在、ジョージアが実効支配をしている地域とロシア間の主な通過点は、グルジア軍道を介したステパンツミンダ（旧カズベギ）とウラジカフカスの間です。その他にも、アブハジアとロシア間の通過点として、プソウ/アドラー地域があり、南オセチアとの間はニジニ・ゼルマグ/ゼモ・ロカで接続されています。

このように、ジョージア＝ロシア国境は歴史的な背景と現代における複雑な国際関係を反映しており、その状況は依然として流動的です。国境を巡る外交的な課題は、地域の安定だけでなく、国際的な政策にも大きな影響を及ぼしています。

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