ジョージ・ハッケンシュミット

ジョージ・ハッケンシュミット：近代プロレスのレジェンド

ジョージ・ハッケンシュミット（1878年～1967年）は、エストニア出身のプロレスラーであり、近代プロレスリングの創成期を象徴する存在です。「ラシアンライオン」の異名で知られ、その圧倒的なパワーと、ベアハッグの発明者としての名声は、現在でも色褪せることがありません。

1896年のプロデビュー後、ハッケンシュミットは数々のトーナメントで優勝。類まれなパワーファイターとして、同時代のレスラーたちを圧倒しました。1900年にはイギリスに進出し、賞金マッチシリーズで活躍。そして、プロレス史における重要な転換点となるフランク・ゴッチとの対戦に臨みます。

フランク・ゴッチとの激闘と残された謎

ハッケンシュミットとゴッチは、1908年と1911年の2度にわたり対戦。特に1908年の試合は、ハッケンシュミットが保持する統一世界ヘビー級王座と、ゴッチが持つアメリカン王座を賭けた歴史的な一戦でした。2時間3分にも及ぶ死闘は、ゴッチがラフファイトや反則行為を繰り返した末、ハッケンシュミットの試合放棄によって幕を閉じます。この試合には、ゴッチ陣営によるレフェリー買収疑惑や、ハッケンシュミットの試合後発言など、いまだに多くの謎が残されています。この試合の結果、世界ヘビー級王座とアメリカン王座が統一されたという歴史的意義はありますが、その過程には多くの憶測が飛び交い、真相は闇の中です。

3年後の1911年の再戦では、ハッケンシュミットは試合直前の怪我の影響もあり、ストレートで敗北を喫します。しかし、この怪我についても、ゴッチが事前に仕掛けた策略だったという疑惑がささやかれています。

輝かしい戦績と惜しまれる引退

ハッケンシュミットのキャリアは約15年と決して長くはありませんでしたが、数々のタイトルを獲得しました。ヨーロピアン・ヘビーウェート・レスリング・チャンピオンシップ、オープン・インビテーショナル・トーナメント優勝、世界ヘビー級王座（ヨーロッパ版）認定、世界グレコローマン王者認定、そして初代統一世界ヘビー級王者に輝くなど、その功績はプロレス史に大きな足跡を残しています。1911年の引退後も、肉体トレーニングに関する著作を出版するなど、その影響力は衰えることはありませんでした。

1967年にイギリスで亡くなったハッケンシュミットですが、2016年にはWWE殿堂のレガシー部門に選出され、その偉業は後世に語り継がれています。

その他エピソード

記録に残るもの以外にも、ハッケンシュミットは多くの逸話を残しています。例えば、20世紀初頭には大相撲の横綱・太刀山峯右エ門との異種格闘技戦が計画されたものの、第一次世界大戦の影響で実現しなかったというエピソードがあります。

ハッケンシュミットの技

ハッケンシュミットは、独自のレスリングスタイルを確立し、後世のレスラーにも大きな影響を与えました。特に有名なのが、彼が考案したとされる「ベアハッグ」です。他に、ハーフネルソン、スタンプ・ホールドなども得意技として知られています。

まとめ

ジョージ・ハッケンシュミットは、近代プロレスの礎を築いた偉大なレスラーです。彼の強靭な肉体、圧倒的なパワー、そしてフランク・ゴッチとの伝説的な対戦は、プロレス界に永遠に語り継がれるでしょう。彼の功績は、単なるレスラーとしての枠を超え、プロレスの歴史そのものを語る上で欠かすことのできない存在となっています。

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