ベアハッグ

ベアハッグ

ベアハッグ（別名：ボディロック）は、レスリング、プロレス、総合格闘技などの格闘技で使用される締め技、テイクダウン技の一種です。相撲の決まり手である鯖折りに似た見た目から、プロレスでは熊式鯖折り、熊の抱き締めとも呼ばれます。神道六合流柔術では胴殺という別名もあります。

歴史

近代プロレスでは、ジョージ・ハッケンシュミットが得意技としていました。彼の故郷である帝政ロシア期のエストニアでは、挨拶で強く抱き合う習慣があり、それが技の呼称の由来になったとされています。

概要

締め技として使用する場合、立位対面からのクリンチ状態から、両腕で相手の胴回りを抱き込み、絞り込むように締め付けます。これにより、相手の背骨から肋骨にかけて圧迫し、ダメージを与えます。相手を持ち上げることで、相手の体重が加わり、さらに強いダメージを与えることができますが、体格差によっては困難な場合もあります。締め付けだけでダメージを与えるには、強い腕力と足腰の安定が必要です。

柔道では、両腕で相手の胴に抱き着くことをベアハッグと呼びます。かつては、いきなりのベアハッグであるハイタックルからの小外掛がよく使用されていましたが、2010年からは国際柔道連盟ルールで、上衣を持たない状態からのいきなりのベアハッグは「指導」の反則となりました。

また、上記の体勢から自身の体重を浴びせ倒すことによってテイクダウンする技や、背面から胴を抱く技も同様にベアハッグと呼ばれます。

主な使用者

怪力を誇ったジョージ・ハッケンシュミットのベアハッグからは逃れることは不可能と言われました。他にも、ブルーノ・サンマルチノ、アート・トーマス、イワン・コロフ、ニコライ・ボルコフ、ケン・パテラ、スーパースター・ビリー・グラハムなどの怪力レスラーや、巨漢レスラーのアンドレ・ザ・ジャイアントもこの技を使用していました。アンドレ・ザ・ジャイアントは、その巨体ゆえに膝を着いた体勢でもベアハッグを繰り出すことができました。日本人レスラーでは、ストロング小林、坂口征二などが得意技としていました。

レスリングの見世物で、ダニー・ホッジが約230kgの子熊と対戦した際、ベアハッグを食らい、その怪力にギブアップしたというエピソードも残っています。

バリエーション

ベアハッグはシンプルな技であるため、変形バリエーションは少ないです。しかし、腰を支点として相手を宙に浮かせることでダメージを与えるものが存在します。ただし、通常のベアハッグの方が威力は高いという指摘もあります。ハルク・ホーガンは、新日本プロレスでアンドレ・ザ・ジャイアントをベアハッグで宙に浮かせてみせたことがあります。

ブルーノ・サンマルチノは、ジャイアント馬場にベアハッグを仕掛けた際に、脳天チョップで脱出されたため、背後から抱きつくベアハッグを繰り出したことがあります。

また、ベアハッグは相手を腰で抱え込むため、そこから投げ技への移行も考えられます。力皇猛は、ベアハッグの状態からDDTをかけるベアハッグDDTや、ブレーンバスターに移行するベアハッグ・ブレーンバスターを開発しました。

派生技

スタンプ・ホールド

相手をパワーボムの要領で抱え上げて逆さ吊り状態にし、ベアハッグと同様に相手の胴部を両腕で締め上げる技です。逆さに吊るされることで、相手は脱出が困難になり、頭部に血液が逆流するため、ダメージが倍加します。グリズリー・スミス、ディック・ザ・ブルーザー、ドン・レオ・ジョナサン、ジョージ・ゴーディエンコ、ラッシャー木村などが使用していました。

関連項目

* 鯖折り

もう一度検索