ジョージ・バターワース

ジョージ・バターワース（George Sainton Kaye Butterworth, 1885年 7月12日 - 1916年 8月5日）は、20世紀初頭に活動したイギリスの作曲家です。特にA.E.ハウスマンの詩による歌曲集《シュロップシャーの若者》で知られています。彼の姓は、バタワスやバターワスといった表記も見られます。

生涯と背景

バターワースはロンドンのパディントンで生を受けましたが、幼い頃にヨークシャーへ移り住みました。音楽の手ほどきは、歌手であった母親から受けたといわれています。子供の頃から作曲に親しんでいましたが、父親の意向により、弁護士を目指してイートン・カレッジを経てオックスフォード大学トリニティ・カレッジに進学しました。しかし、オックスフォード大学での学生生活において、民謡研究家のセシル・シャープや、民謡を深く愛好する作曲家のレイフ・ヴォーン・ウィリアムズとの出会いが、彼の音楽への情熱をいっそう掻き立てることになります。特にヴォーン・ウィリアムズとは親友となり、イングランド各地の田園を共に訪れて民謡の採譜を精力的に行いました。こうした経験は、二人の作曲家としてのスタイルに大きな影響を与えました。また、バターワース自身もフォークダンスの名手として知られ、特にモリス・ダンスを好んで踊ったと伝えられています。

ヴォーン・ウィリアムズが作曲していた交響詩を、後の《ロンドン交響曲》へと改変することを提案したのもバターワースであり、その初期スケッチの作業にも協力しました。こうした深い関わりから、《ロンドン交響曲》は、惜しくもこの世を去ったバターワースに献呈されることになります。

オックスフォード大学を卒業後、バターワースは音楽の道を本格的に歩み始めます。作曲活動を中心に、タイムズ紙に音楽批評を寄稿したり、オックスフォードシャーのラドリー大学で教鞭を執ったりしました。一時期は王立音楽大学で、ヒューバート・パリーらの指導も受けました。

第一次世界大戦と最期

1914年に第一次世界大戦が勃発すると、バターワースは志願して従軍します。1916年 8月5日、ソンム戦役におけるポジエールの戦いの最中、攻撃を指揮していた彼は敵の銃弾に倒れ、わずか31歳の若さで戦死しました。彼の遺体は残念ながら回収されず、ソンムの戦場跡近くにあるチープヴァルの戦没者記念碑にも、その名前は刻まれていません。しかし、戦後、英国政府から戦功十字章が追贈され、激戦地となった前線の一つに彼の名が冠されることとなりました。

作品と評価

バターワースは多作な作曲家ではありませんでした。特に戦時中には、自身の納得できない作品の楽譜を破棄したともいわれています。現存する作品の中で最も広く知られているのは、詩人A.E.ハウスマンの詩集『シュロップシャーの若者』に曲をつけた歌曲集です。同時代の多くの英国作曲家がハウスマンの詩に霊感を受けましたが、バターワースの作品ほど有名になったものは他にありません。

彼は1911年と1912年に、『シュロップシャーの若者』に基づく2冊の歌曲集を出版しました。これらの全曲が演奏される機会は少ないですが、その中の6曲は現在でもしばしば演奏されており、とりわけ「僕の牛たちは耕しているのか（Is My Team Ploughing?）」は特に有名です。「最愛の木立ちよ（Lovliest of Trees）」は、管弦楽のための狂詩曲《シュロップシャーの若者》（1912年）の主要な主題として用いられています。その他の管弦楽曲では、《緑の枝垂れ柳の岸辺（Banks of Green Willow）》（1913年）が、現在も演奏されることがあります。

バターワースの研究者たちは、彼の若すぎる死が、その才能の完全な開花を阻んだと指摘することが多いです。また、『シュロップシャーの若者』の詩集がボーア戦争という困難な時代設定であり、死や喪失といった陰鬱なテーマを含んでいることと、彼自身の戦死との間に、しばしば関連性が指摘されることもあります。第一次世界大戦に自ら志願して兵役に就いた英国の音楽家はさほど多くなかったため、彼が志願した動機については、いまだ謎に包まれています。短い生涯ではありましたが、ジョージ・バターワースは英国音楽の歴史に確かな足跡を残しました。

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