ジローラモ・サヴォナローラの肖像

ジローラモ・サヴォナローラの肖像

『ジローラモ・サヴォナローラの肖像』（伊: Ritratto di Girolamo Savonarola）は、イタリア・ルネサンスの画家フラ・バルトロメオが1498年頃に制作した油彩画です。板上に描かれたこの作品は、宗教改革者ジローラモ・サヴォナローラ（1452-1498年）が存命中に、フラ・バルトロメオがフィレンツェでサヴォナローラの宗教刷新運動に共感していた時期に描かれたと考えられています。現在、この作品はフィレンツェのサン・マルコ美術館に所蔵されています。

作品の背景

フェラーラ出身のサヴォナローラは、サン・マルコ修道院の修道院長を務めていました。彼はフィレンツェの腐敗した生活様式を批判し、宗教改革運動を推進しました。彼の活動は多くの支持者を集め、有名な「虚栄の焼却」では多くの世俗的な物品が燃やされました。この運動は、フラ・バルトロメオを含む多くの芸術家にも影響を与え、フラ・バルトロメオは若い頃に描いた裸体像を焼却したとされています。

しかし、サヴォナローラは都市の政治的・宗教的権威と対立し、最終的に破門され、1498年5月23日にフィレンツェのシニョリーア広場で火刑に処せられました。サヴォナローラの死後、フラ・バルトロメオは1500年にドミニコ会に入り、一時的に絵画制作を放棄しました。その後、1504年にドミニコ会から再び絵画制作を奨励され、創作活動を再開しました。

作品の特徴

この肖像画は、サヴォナローラの晩年に制作された可能性が高く、フラ・バルトロメオがサヴォナローラを深く尊敬し、支持していたことを示しています。サヴォナローラは暗い背景の中に、左向きの横顔で描かれており、暗色の宗教的な衣服を身に着けています。彼の横顔は鋭く、強い決意を感じさせます。画面下部には、ラテン語で「神に遣わされた、フェラーラの預言者ジローラモの肖像」と記されており、フラ・バルトロメオがサヴォナローラの使命を支持していたことが明確に表れています。

この肖像画は、2016年にロッテルダムのボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン美術館で開催された展覧会「フラ・バルトロメオー聖なるルネサンス」に出品されました。


この作品は、単なる肖像画としてだけでなく、フラ・バルトロメオの信仰心と、サヴォナローラに対する深い共感が込められた歴史的、芸術的にも重要な作品と言えるでしょう。

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