ジンチョウゲ属

ジンチョウゲ属（Daphne）について

ジンチョウゲ属（学名：Daphne）は、ジンチョウゲ科に分類される植物の属の一つで、その美しい花と独特な香りで知られています。この属は、落葉性または常緑性の低木で構成されており、枝分かれが非常に多いのが特徴です。葉は草質または革質で、縁が滑らかな全縁であり、短い葉柄を持っています。葉の付き方は、互生、束生、または対生と種によって異なります。

花の特徴

ジンチョウゲ属の花は、頭状花序または短い穂状花序を形成し、枝の先端や側面から咲きます。花は両性または雌雄異株で、4つまたは5つの部分からなる構造をしています。花弁のように見える部分は実は萼片で、真の花弁は存在しません。萼は筒状から漏斗状へと変化します。雄蕊は通常8〜10個あり、2列に並んでいます。子房は無柄で卵形をしており、花柱はごく短く、柱頭は球形または円板形です。

果実と毒性

果実は多汁質の液果で、中に卵形の種子が1つ入っています。この属の植物の樹皮や果実は、種によっては有毒な場合があります。特に海外に分布するローレルジンチョウゲやセイヨウオニシバリは、ダフネトキシンやメゼレインといった猛毒成分を含んでおり、摂取すると非常に危険です。ローレルジンチョウゲは、地球上で最も毒性の強い植物の一つとして知られています。

分布と種

ジンチョウゲ属は、ユーラシア大陸と北アフリカに約90種が分布しています。日本では、葉が互生し、4数性の花を持つ6〜7種が自生しています。

日本の主な種

ナニワズ (Daphne jezoensis Maxim.)
コショウノキ (Daphne kiusiana Miq.)
チョウセンナニワズ (Daphne koreana Nakai) - 絶滅危惧II類(VU)
カラスシキミ (Daphne miyabeana Makino)
ジンチョウゲ (Daphne odora Thunb.) - 栽培種
オニシバリ (Daphne pseudomezereum A.Gray)
フジモドキ (Daphne genkwa Siebold et Zucc.) - 栽培種

主な外国の種

アリサンコショウノキ (Daphne arisanensis Hayata)
(Daphne chingshuishaniana S.S.Ying)
カラフトナニワズ (Daphne kamtschatica Maxim.)
セイヨウオニシバリ (Daphne mezereum L.)
モリソンコショウノキ (Daphne morrisonensis C.E.Chang)
ヒメコショウノキ (Daphne nana Tagawa)
ローレルジンチョウゲ (Daphne laureola L.)

ギャラリー

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参考文献

佐竹義輔他編『日本の野生植物 木本Ⅱ』、1989年、平凡社
大場秀章編著『植物分類表（初版第3刷訂正入）』、2011年、アボック社
* 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」（YList）

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