オニシバリ

オニシバリ（鬼縛り、学名：Daphne pseudomezereum）は、ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属に分類される常緑性の小低木です。別名としてナツボウズ（夏坊主）とも呼ばれており、有毒植物として知られています。

特徴

オニシバリは、高さ1〜1.5メートル程度に成長します。枝はよく分枝し、表面は汚れた灰茶色で無毛です。葉は互生し、革質で柔らかく、長楕円形をしています。葉の大きさは長さ5〜13cm、幅1〜3cmで、両端は細く尖っています。葉の縁は全縁で、側脈は7〜9対あり、不規則に分枝して波打つように見えます。葉柄はほとんどありません。独特な特徴として、7〜8月頃に一旦落葉し、8〜9月には枝の先端から新しい葉と翌春に開花する蕾が同時に現れます。

オニシバリは雌雄異株であり、花期は2〜4月です。花は淡い黄緑色で、葉腋から2〜10個が束状に咲きます。花弁のように見える部分は萼裂片で、萼筒は長さ5〜9mm、先端は4つに裂けており、裂片は長さ2.5〜5.5mmで外側に開きます。雌株の花は雄株の花よりもわずかに小さい傾向があります。小花柄は、花が終わると枝にいぼ状の痕跡として残ります。雄蕊は8個あり、上列の雄蕊は萼筒から少し突き出します。子房は無柄で楕円形をしており、花柱は非常に短く、柱頭は円盤状です。果実は5〜7月頃に成熟し、直径約8mmの楕円形の液果となります。果実は赤く熟し、辛味があり有毒です。

分布と生育環境

オニシバリは、中国（吉林省、遼寧省）、朝鮮半島、日本に分布しています。日本では、福島県以西の本州、四国、九州に分布し、落葉樹林内で見られます。

和名の由来

和名の「オニシバリ（鬼縛り）」は、この木の樹皮が非常に強靭で、枝を折ろうとしても容易にはちぎれないことに由来します。この強さから、鬼を縛っても切れないだろうという意味で名付けられました。また、夏に一時的に落葉することから、「ナツボウズ（夏坊主）」とも呼ばれています。

ギャラリー

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脚注

参考文献
佐竹義輔他編『日本の野生植物 木本Ⅱ』、1989年、平凡社
茂木透、勝山輝男他『樹に咲く花（離弁花 2）山溪ハンディ図鑑4』、2000年、山と溪谷社
高橋勝雄『野草の名前 春 山溪名前図鑑』、2002年、山と溪谷社
外部リンク
オニシバリの標本（千葉県清澄山で1961年6月18日に採集）　（千葉大学附属図書館）
米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」（YList）
“日本のレッドデータ検索システム・オニシバリ”. エンビジョン環境保全事務局.
Daphne pseudomezereum Flora of China
Daphne pseudomezereum A.Gray （The Plant List）

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