スイス・エア＝レスキュー

スイス・エアレスキュー（Rega）

スイス・エアレスキュー（Rega）は、スイスに拠点を置く、民間の非営利航空救助隊です。山岳地帯での捜索救助活動や緊急医療支援を主な業務とし、国内外で活躍しています。1952年の設立以来、民間からの寄付と賛助会員費によって運営されており、政府からの財政援助は一切受けていません。会員数は人口の約38%にあたる320万人に達し、会員はRegaの救助サービスを無料で利用できます。非会員の場合は、各種保険で利用料金がカバーされます。

活動内容

Regaの活動は多岐にわたります。

山岳救助: 山岳地帯での遭難者捜索や救助活動を行います。ヘリコプターや専門の救助隊員が、困難な地形にも対応します。
緊急医療支援: 事故や急病で重症を負った患者を、医療機関へ搬送します。高度な医療機器を搭載したヘリコプターで、迅速な搬送を実現します。
海外医療搬送: 海外で医療支援を受けられない会員に対し、本国への送還や医療アドバイスを提供します。
家畜回収: 夏期には、高地の酪農家のために、死亡した家畜の回収作業も行います。

設立の背景

Regaの設立は、1946年のアメリカ空軍機ガウリ氷河不時着事故がきっかけとなりました。この事故で、スイス空軍パイロットが氷河への強行着陸に成功し、乗員乗客全員を救助しました。この出来事が、航空救助隊設立の必要性を強く認識させることになりました。その後、ヘルマン・ガイガーによる氷河への着陸実験を経て、1952年にRegaが正式に発足しました。

発展の歴史

設立当初は固定翼機と落下傘部隊による救助活動が中心でしたが、ヘリコプターの導入とともに活動範囲が拡大しました。1966年には、氷河に関する国際ヘリコプターシンポジウムを開催し、ウインチや救助ネットなどの画期的な救助機器が発表されました。また、1987年には、全機に暗視装置を搭載した世界初の民間組織となり、夜間でも安全な救助活動を可能にしました。

近年では、ドローンや携帯アプリを導入し、より迅速かつ効果的な救助活動を目指しています。ドローンには赤外線カメラや携帯電波追跡機能が搭載されており、遭難者の位置特定に役立っています。

保有機材

Regaは、回転翼機19機と固定翼機3機の計22機を保有しています（2021年3月時点）。これらの機材は、救助活動や医療搬送に不可欠な存在です。

回転翼機: 救助ヘリコプターとして、山岳地帯や市街地など、様々な場所で活躍します。
固定翼機: 長距離の搬送や海外医療搬送に使用されます。

基地

Regaは、スイス国内14か所に基地を構えています。

レガセンター（チューリッヒ）: 本部と指令本部があり、固定翼機の格納庫やメンテナンスセンターも併設されています。
ヘリコプター基地: ドューベンドルフ、バーゼル、ベルン、ローザンヌなど、各地にヘリコプター基地が設けられています。各基地は、それぞれの地域特性に合わせた救助活動を行っています。

その他の情報

救助要請: 電話「1414」や無線周波数「161.3MHz」で要請できます。また、携帯電話アプリからも要請可能です。
国際協力: 海外からの救助要請にも応じています。
* 名称の由来: 略称である「レガ」は、ドイツ語、フランス語、イタリア語の「スイス・エア=レスキューガード」を組み合わせたものに由来します。

Regaは、設立から今日まで、常に最新技術を取り入れ、人命救助に尽力してきました。その活動は、スイス国内外で高く評価されています。

もう一度検索