スウィートランド

スウィートランド（SWEET LAND）は、バンダイナムコアミューズメントが提供するアーケード向けのプライズゲーム機です。景品を押し出して獲得するプッシャーゲームの仕組みを、景品ゲームに応用した先駆けとして知られ、主に小型の菓子類、アクセサリー、雑貨などが景品として使われています。本項目では、このシリーズの歴史、基本システム、そして様々な派生機種や関連作品について詳しく解説します。

概要

このシリーズの始まりは1986年 12月、当時のナムコから初代「スウィートランド」が登場しました。以来、30年以上の長きにわたりモデルチェンジを重ねながら製造・販売され続けている、アーケードゲーム業界における代表的なロングセラーの一つです。筐体は特徴的なドーム型で、最大4人まで同時に遊ぶことができます。ドームの周囲には景品が置かれるテーブルがあり、上段と下段に階段状に配置されています。上段テーブルが前後に動くことで、景品が下段テーブルへと押し出され、さらに下段から景品獲得口へ落ちたものがプレイヤーの手に渡る仕組みです。近年登場した「スウィートランド5」（2015年発売）では、従来の4人プレイに加え、テーブル2箇所を使った2人プレイにも対応するモデルが登場しました。なお、「スウィートランド5」と後述の「スウィートゴーランド2」を除く多くの旧機種は、2017年10月をもってメーカーによる修理サポートが終了しています。

遊び方

基本的なプレイの流れは以下のようになります。

1. 硬貨を投入すると、景品獲得口が開きます。
2. 「すくう」ボタンを使って、筐体中央のターンテーブル上を流れる景品をショベルですくい上げます。
3. すくい上げた景品を、プレイヤーの手前で動いているプッシャーテーブルの上段に落とすため、「おとす」ボタンを押します。景品をすくえなかった場合でも、この「おとす」動作は行う必要があります。
4. プッシャーテーブルの動きによって景品が上段から下段、そして下段から獲得口へと落下すれば、景品獲得となります。
5. 一定時間が経過すると、景品獲得口は閉じます。

もし硬貨投入後に何も操作しないまま時間が過ぎた場合でも、ゲーム機が自動的に景品をすくい、落とす動作を行うようプログラムされています。

開発背景と命名

初代スウィートランドが誕生した1986年当時、ナムコは子供向けの健全なゲーム提供を重視しており、射幸心を煽るようなプライズゲームの開発には比較的消極的でした。しかし、ナムコが直営するゲームセンターから「小さなお子様が楽しめる、景品を使ったゲームが欲しい」という現場の声が強く上がりました。この要望に応える形で、お菓子を主な景品とし、硬派なイメージを排した新しいプライズマシンの開発が始まりました。

開発初期には、当時の社長であった中村雅哉氏が筐体の角ばったデザインを好みませんでした。氏は「こんなものは売れない」とデザイン修正を指示しましたが、開発責任者の石川祝男氏は、構造上の制約から修正が困難であることを説明し、「売れます！もし売れたら謝っていただけますか？」と粘り強く説得しました。結果的にスウィートランドは広く普及し、その3年後には中村社長が石川氏に直接謝罪するというエピソードが残っています。

「スウィートランド」という名前は、景品としてよく使われるお菓子に由来すると同時に、「甘い誘惑」という意味合いも込められて名付けられました。

主なシリーズ機種

スウィートランドシリーズは、数々のモデルチェンジを経てきました。

スウィートランド（初代）: 1986年 12月登場。10円投入口も備えていました。
NEWスウィートランド: 1991年登場。ピンクと白を基調としたデザイン。
スウィートランド2: 1994年登場。橙と黄色のカラーリング。100円専用となり、料金設定も変更。
スウィートランド3: 1998年登場。青と黄色のストライプが特徴。ドーム高が高くなり、景品が積みやすくなりました。
スウィートランド4: 1999年11月登場。ショベル形状が改良され、プッシャーテーブルの側面が波打つ形状に。BGMも一新されました。2002年以降、「ブルーバージョン」「サクラバージョン」「ブライトバージョン」などの改良版も登場。「取り放題モード」機能も搭載されました。
スウィートランドプラス: 2003年5月登場。クレジット投入でルーレットが回り、「Lucky」で横こぼれを防ぐ「天使の羽根」が出現。自動補給装置も搭載されました。
スウィートランド5: 2015年7月登場。ナンバリング刷新は16年ぶり。LED照明、大型ドーム、2人プレイ対応モデル、メンテナンス性の向上などが図られました。

その他のシリーズと関連作品

メインシリーズ以外にも、様々なコンセプトの機種や関連ゲームが登場しています。

スウィートファクトリー/ニュースウィートファクトリー: 箱型筐体のクレーンゲームに近いタイプ。ショベルですくってプッシャーテーブルに落とす仕組み。ニュースウィートファクトリーは2人プレイに対応。
スウィートランドミニ: 1996年登場の1人用小型機。レゴ仕様も存在しました。
ビッグスウィートランド: 2003年登場。大型筐体で最大6人プレイ可能。500円硬貨対応。景品がチャッカーに触れると抽選が発生するジャックポット機能を搭載。
スウィートランドプレミア: 2006年登場の円筒形筐体。重りを落として景品をなだれ落とすジャックポットシステムが特徴。
スウィートザック: 1996年登場。縦長の八角柱型。ショベルを手動で操作して景品をすくう直接操作タイプ。
スウィートゴーランド/スウィートゴーランド2: プッシャー要素のない機種。回転するフックに吊るされた景品をハンマーで叩き落とすゲーム性。「欲しい景品を選べる」点をアピール。
スウィートホイール: 2000年登場。観覧車のような外見で、大型景品に対応。回転するゴンドラのフックをアームで叩いて扉を開け、景品を落下させる仕組み。
スウィートスクーパー: 2004年登場の円筒形筐体。ショベルで景品を直接すくい、落とし口へ運ぶ。クレーンやフックに改造して運用されるケースも。
トレジャーマウンテン: 1995年登場のメダルゲーム。スウィートランドの筐体を流用し、メダルをチャッカーに入れることでターンテーブル上のメダルを獲得するシステム。

店舗での運営とジャックポット演出

スウィートランドでは、各店舗が独自のジャックポット演出を取り入れることが一般的です。中にはナムコから公式に販売されたキットも存在します。

店舗独自のアイデアから生まれた代表的なものが、「タワー」と呼ばれる積み方です。これは下段テーブルに景品を高く積み上げ、崩れた際に大量獲得を期待させる演出で、現在多くの店舗で採用されています。開発側が当初想定していなかった運営方法が現場から生まれ、普及した例です。

公式のジャックポットキットとしては、重りを落下させると容器が割れて中の景品が降る「じゃっくぽっと丼」（および「じゃっくぽっと丼2」）、重りでテーブルを覆う滑り台状のパーツが出現し景品を落としやすくする「JP階段落ちキット」、ショベルカーのバケット型容器から景品を降らせる「じゃっくぽっとバケット」などがありました。

これらの工夫により、スウィートランドは単に景品を獲得するだけでなく、様々な仕掛けや演出がプレイヤーを楽しませる、長く愛されるゲームシリーズとなっています。

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