スウェディッシュ・ラウンディング

スウェディッシュ・ラウンディング（スウェーデン式端数処理）とは

スウェディッシュ・ラウンディング、またはキャッシュ・ラウンディングとは、現金の支払いの際に生じる端数を処理する方法の一つです。具体的には、金額を最も近い5の倍数に丸める処理を指します。この方式は、硬貨の最小額面が1ではなく5である場合などに、支払いをスムーズに行うために用いられます。この処理は、二捨三入、またはより詳細に二捨三入・七捨八入とも呼ばれます。

算出方法

スウェディッシュ・ラウンディングでは、対象となる整数の1の位の数字によって丸め方が決まります。

1の位が0, 1, 2の場合：切り捨てて0にする
1の位が3, 4, 5, 6, 7の場合：切り上げて5にする
* 1の位が8, 9の場合：切り上げて10にする（繰り上げ）

このように、1の位の数字を基に、最も近い5の倍数に丸めることで、支払いが簡略化されます。この処理は原則として整数に対してのみ適用されます。もし非整数に適用すると、例えば2.9が0に丸められるなど、不都合が生じる可能性があります。スウェディッシュ・ラウンディングは、5を丸め幅とする「五捨六入」と等価です。

図式で表すと以下のようになります。


67 | 89'0'12 | 34'5'67 | 89

歴史

スウェディッシュ・ラウンディングの導入の背景には、各国の通貨制度における変化があります。

スウェーデン

スウェーデンでは、1972年に1オーレおよび2オーレ硬貨が廃止され、5オーレ硬貨が最小単位となった際に、この端数処理が導入されました。この通貨改革が、「スウェディッシュ方式」と呼ばれる所以です。その後、1985年には5オーレおよび25オーレ硬貨も廃止され、最低単位が50オーレ（1/2クローナ）になったため、端数処理はオーレ単位の十の位に対して行われるようになりました。さらに2010年から2011年の通貨改革で50オーレ硬貨も廃止され、現金での最小単位は1クローナとなりました。

ニュージーランド

1990年には、ニュージーランドでも同様の理由からスウェディッシュ・ラウンディングが導入されました。1セントおよび2セント硬貨が廃止され、5セント硬貨が最小単位となったためです。その後、5セント硬貨も廃止された際には、四捨五入が用いられるようになりました。

オーストラリア

オーストラリアでは、1992年より1セント・2セント硬貨が廃止され、5セント硬貨が最小単位となったため、現金支払いの場合、1セントの位に対してスウェディッシュ・ラウンディングが適用されています。

カナダ

カナダでは、2013年2月4日に1セント硬貨が廃止され、5セント硬貨が最小単位となったため、現金支払い限定で1セントの位にこの方式が導入されました。

デンマーク

デンマークでは、現在キャッシュレス決済が主流ですが、現金支払いの場合は、50オーレ硬貨が最小単位のため、オーレ単位の十の位に対してこの方式が行われます。2008年までは25オーレ硬貨が最小単位であったため、複雑な端数処理（12捨13入、37捨38入など）が行われていました。

ユーロ圏

ユーロ圏では、ベルギー、フィンランド、アイルランド、イタリア、オランダ、スロバキアなどで1セントと2セント硬貨が事実上流通していないため、現金支払いの場合にセント単位の一の位にこの方式が用いられています。

その他

この他にも、スイス、シンガポール、マレーシア、ハンガリー、ジョージアなど、多くの国でスウェディッシュ・ラウンディングが採用されています。

まとめ

スウェディッシュ・ラウンディングは、硬貨の最小額面が変化した際に、現金の支払いを円滑にするために導入された端数処理方式です。二捨三入、七捨八入とも呼ばれ、多くの国で採用されています。この方式により、現金決済の簡略化が図られ、日常生活での支払いがよりスムーズになっています。

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