スウェプトオーヴァーボード

スウェプトオーヴァーボード：競走馬から種牡馬へ、そして伝説へ

1997年2月6日生まれのアメリカ産競走馬、スウェプトオーヴァーボード。2017年11月1日の死まで、華麗なる競走馬としてのキャリアと、日本競馬史に名を刻む種牡馬としての成功を収めた、まさに伝説の馬と言えるでしょう。

華々しい競走馬時代

2歳時にはトレーニングセールで最高タイムを記録し、早くからその才能をいかんなく発揮。デビュー2戦目で初勝利を飾り、将来を嘱望されました。3歳時にはサンミゲルステークス(G3)を制覇し、重賞初制覇。そして4歳、サンタアニタ競馬場で行われたエンシェントタイトルブリーダーズカップハンデキャップ(G1)で、当時レコードを更新する1分7秒67という驚異的なタイムで優勝、念願のG1初勝利を掴みました。さらに、ターフエクスプレスハンデ(G3)も制し、その実力を証明しました。

5歳では、西海岸から東海岸へ遠征。メトロポリタンハンデキャップ(G1)においても当時のレコードとなる1分33秒34で優勝、G1タイトルを2つ獲得しました。芝とダートの両方の重賞競走を制覇した、まさにオールラウンダーと言える活躍ぶりでした。20戦中16勝という安定した成績も、その実力の証でしょう。その後、ブリーダーズカップ・スプリントに出走したのち、競走馬生活に幕を閉じました。

日本競馬界への貢献：種牡馬時代

2003年、父であるエンドスウィープが他界。日本にその血統を受け継ぐ種牡馬がいなかったことから、スウェプトオーヴァーボードは日本に輸入され、社台スタリオンステーションで繋養されることとなります。初年度は103頭もの繁殖牝馬に種付けを行うなど、その人気は高く、2006年には種付け料が受胎確認後150万円に設定されるほどでした。

2006年には産駒のヒデサンジュニアが地方競馬で、マイネルサニベルが中央競馬で初勝利を挙げ、種牡馬としての成功を確実なものとしました。その後、ブリーダーズ・スタリオン・ステーションへ移動し、種付け料は繁殖成績の上昇に伴い徐々に値上がりしていきました。

栗山求氏によると、神経質な気性を持つ馬が多く、短距離の芝とダートを得意とする産駒が多いとされていますが、その活躍範囲は非常に広く、JRAの平地重賞において、最短距離の1000m(アイビスサマーダッシュ)と最長距離の3600m(ステイヤーズステークス)のレースを制した産駒を輩出した、唯一の種牡馬となりました。この記録が、スウェプトオーヴァーボードの類まれな遺伝子の潜在能力を示しています。

数々の活躍馬たち

スウェプトオーヴァーボードは、数多くの活躍馬を輩出しました。GI級競走優勝馬から地方重賞優勝馬まで、その活躍は多岐に渡ります。代表的な産駒には、スプリンターズステークスを2回制したレッドファルクス、ステイヤーズステークスを制したリッジマン、東京大賞典を4回制したオメガパフュームなどが挙げられます。また、母の父としても、グローリーヴェイズ、ヤマニンウルスなど多くの活躍馬の血統に名を連ねています。

2017年11月1日、20歳でこの世を去りましたが、競走馬、種牡馬としての輝かしい功績は、日本競馬史に永遠に刻まれることでしょう。スウェプトオーヴァーボードの血統は、これからも日本の競馬界を支え続けることでしょう。

主要産駒一覧

(G1/G2/G3優勝馬は太字で表記)

2004年産：アーバンストリート（シルクロードステークス）
2006年産：フロレンティノ（ジェファーソンカップ）
2007年産：パドトロワ(アイビスサマーダッシュ、キーンランドカップ、函館スプリントステークス)、キョウエイアシュラ（テレ玉杯オーバルスプリント）
2008年産：エーシンブラン（兵庫チャンピオンシップ）
2011年産：レッドファルクス(スプリンターズステークス2回、CBC賞、京王杯スプリングカップ)
2013年産：リッジマン（ステイヤーズステークス）
2015年産：オメガパフューム(シリウスステークス、東京大賞典4回、帝王賞、平安ステークス)

(地方重賞優勝馬、母の父としての産駒は省略)

参考文献

『優駿』 2020年11月号
* 栗山求『GIホースが紡ぐ血』 vol.30

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