スウェーデン国鉄D形電気機関車

スウェーデン国鉄D形電気機関車：スウェーデン鉄道の歴史を刻んだ名機

スウェーデン国鉄（SJ）は、鉄鉱石輸送用の電気機関車を導入した後、本線で使用できる電気機関車の開発に着手しました。その結果として誕生したのが、D形電気機関車です。本形式は、1925年から1943年にかけて、実に333両も製造された、スウェーデン鉄道史において重要な役割を担った機関車です。

開発の背景

初期の電気機関車であるOa形は、鉄鉱石輸送に特化した設計でした。そのため、強力な牽引力を持つ一方、速度は低く、本線での運用には不向きでした。SJは、本線に対応できる高性能な電気機関車の必要性を認識し、大規模な開発プロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトの成果が、D形電気機関車です。

D形電気機関車の概要

D形電気機関車は、大きく分けて旅客用と貨物用の2種類が存在しました。旅客用はDs形、Dk形、貨物用はDg形、そして、これらを改良・統合したDu形、Du2形が開発されました。いずれも13m級の箱形車体を持つのが特徴で、初期の車両は木製の車体でしたが、後に鋼製車体へと移行しました。駆動方式はロッド駆動を採用していました。

Ds形（旅客用）

最高速度90km/hで設計されたDs形は、159両が製造されました。後に電動機出力の増強されたDk形が登場したため、製造は終了。残存車両もDk形に改造され、その姿を消しました。

Dg形（貨物用）

牽引力を重視し、最高速度70km/hに抑えられたDg形。1936年には最高速度が75km/hに向上し、その後も電動機出力の増強が行われましたが、形式名は変更されませんでした。Du形への改造車を除き、1976年までに運用を離脱しました。

Dk形（旅客用）

電動機出力の増強により、最高速度100km/hを実現したDk形。新造車とDs形からの改造車の合計117両が存在しました。多くはDu形に改造され、1975年までに運用を離脱しました。

Du形

1950年代に登場したDa形電気機関車と同等の電動機を搭載したDu形は、旅客・貨物両用として活躍しました。最高速度100km/hに向上し、Ds形、Dg形、Dk形から242両が改造されました。1977年に全車両が運用を離脱し、これにより木製の車体を持つD形機関車は完全に姿を消しました。

Du2形

Rc形電気機関車と同等の性能を目指し、Du形2両を連結したDu2形。1967年から1976年にかけて、162両のDu形が81組のDu2形に改造されました。鋼製車体のみが改造対象となり、1993年に全車両が運用を離脱。これにより、D形電気機関車の歴史に幕が閉じられました。

保存車両

スウェーデンを代表する名機として、D形電気機関車の幾つかの車両が保存されており、中には稼働状態を維持されている車両も存在します。これらの車両は、スウェーデン鉄道の歴史を後世へと繋ぐ重要な遺産となっています。

Dm3形との関係

D形電気機関車をベースに、超巨大な貨物機関車であるDm3形が開発されました。Dm3形は、D形電気機関車の技術的発展を示す存在と言えます。

まとめ

スウェーデン国鉄D形電気機関車は、長年にわたりスウェーデンの鉄道輸送を支え、その技術的発展を象徴する存在でした。木製車体から鋼製車体への移行、出力向上、連結運転化など、数々の改良を重ねながら、時代とともに進化を遂げてきました。現在でも保存車両がその歴史を語り継ぎ、スウェーデン鉄道史に燦然と輝く存在として記憶されています。

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