スウェーデン国鉄Dm3形電気機関車

スウェーデン国鉄の重量貨物用電気機関車：Da形、Dm形、Dm3形

スウェーデン国鉄（現SJ AB）は、長年にわたり重量貨物輸送に特化した強力な電気機関車を導入し、その運用を続けてきました。本稿では、特にDa形、Dm形、そしてその発展型であるDm3形電気機関車について、その概要と歴史を詳細に解説します。これらの機関車は、スウェーデンの鉄鉱石輸送において重要な役割を果たしました。

Da形電気機関車

Da形電気機関車は、既存のD形機関車の改良版として、1952年からアセア社（現ABB）によって90両が製造されました。既存機種の性能向上を目指した改良型であり、比較的オーソドックスな設計が特徴でした。しかし、時代の進歩に伴い、次第に老朽化が進み、1990年代初頭までに全車両が運用から離脱しました。

Dm形電気機関車

Dm形は、Da形とは一線を画す、革新的な設計が採用された電気機関車です。2車体連結の8軸駆動という巨大な車体を持ち、その圧倒的なパワーで、スウェーデン北部、ノルウェー国境地帯のオーフォート鉄道における鉄鉱石輸送を担いました。キルナ鉄山から産出される大量の鉄鉱石を、効率的に輸送するために開発された機関車です。39両が製造され、長らく活躍しましたが、2000年以降、ボンバルディア製の新型超大型機関車IORE形に置き換えられる形で順次運用離脱し、その歴史に幕を閉じました。2車体連結という構造から、「Dm2形」と呼ばれることもありました。

Dm3形電気機関車

Dm形のコンセプトをさらに進化させたのが、Dm3形電気機関車です。3車体連結、12軸駆動という、当時としては世界最大級の規模を誇る機関車として、19両が製造されました。その出力は7200kW、牽引力は940kNに達し、登場時は世界最大級の牽引力を誇りました。現在でも、世界有数の強力な機関車の一つとして挙げられます。

しかし、この並外れた牽引力を確保するために、最高速度は75km/hと抑えられました。高速輸送よりも、大量の貨物を確実に輸送することを優先した設計です。Dm形と同様にオーフォート鉄道で鉄鉱石輸送に活躍しましたが、IORE形の導入に伴い、2011年までに全車両が運用から離脱しました。

技術的特徴と共通点

Da形、Dm形、Dm3形はいずれもアセア社（現ABB）で製造されたという共通点があります。そして、Dm形とDm3形は、特にその巨大な車体と強力な牽引力によって、スウェーデンの鉄鉱石輸送において大きな役割を果たしました。 また、Dm形とDm3形は、いずれも蒸気機関車のようなコネクティングロッドを各車輪に備えるという、特徴的な機構を持っていました。これは、高い牽引力を確保するための設計上の工夫と言えるでしょう。

まとめ

スウェーデン国鉄のDa形、Dm形、Dm3形電気機関車は、それぞれ異なる特徴を持ちながらも、スウェーデンの鉄鉱石輸送という過酷な環境において、長年にわたりその力を発揮しました。これらの機関車は、近代的な鉄道技術の歴史において、重要な位置を占めていると言えるでしょう。その設計思想や運用実績は、現代の鉄道車両開発においても貴重な資料として活用されています。特にDm3形は、その圧倒的なパワーと世界最大級の牽引力によって、鉄道史上に名を残す機関車の一つとして記憶されています。

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