スウェーデン国鉄Rb形電気機関車

スウェーデン国鉄Rb形電気機関車：試作に終わった汎用電気機関車

スウェーデン国鉄（当時、現SJ AB）は、老朽化が進んでいたD形電気機関車の代替として、新たな電気機関車の導入を検討していました。その結果生まれたのが、本記事で解説するRb形電気機関車です。Ra形電気機関車をベースに開発されましたが、Rb形は試作車両の段階にとどまりました。

その理由としては、いくつかの要因が挙げられます。まず、スウェーデン国鉄がそれまで蒸気機関車のようなコネクティングロッド駆動方式に固執していた歴史があります。しかし、1955年にRa形電気機関車の導入により、吊り掛け駆動方式への移行が始まったばかりでした。Rb形は、Ra形とは異なり、貨物列車にも旅客列車にも対応できる汎用性を備えた機関車として計画されていました。さらに、海外への輸出も視野に入れて開発が進められました。

これらの背景から、1962年にアセア社（現ABB）によって、異なる仕様の3種類、計6両が製造されました。残念ながら、いずれも量産化されることはありませんでした。現在、保存車両は存在しません。

Rb形の3形式

Rb形は、大きく3つの形式に分類されます。いずれも箱形車体で、車軸配置やモーター出力は共通です。

Rb1形

1001号機と1002号機の2両がRb1形に分類されます。この形式は、架線から流れる交流電流を変圧器と整流器を用いて直流に変換し、直流モーターを駆動させる方式を採用していました。1001号機は、1965年にサイリスタ制御に改造され、Rb1T形に改番されました。このサイリスタ制御は、その後のRc形電気機関車にも採用されるなど、高い評価を得ました。

Rb2形

1003号機と1004号機の2両がRb2形です。この形式は、1930～40年代に製造されたMg形やF形電気機関車と同じ交流電動機を使用していました。Rb2形は1975～76年にかけて廃車されました。

Rb3形

1005号機と1006号機がRb3形です。Rb2形と同様に、1975～76年にかけて廃車されました。詳細な仕様の違いは現存資料が不足しているため不明な点が多いですが、電気系統などに違いがあったと考えられます。

輸出仕様

Rb形電気機関車は海外への輸出も目指していました。ユーゴスラビア鉄道（JŽ）の441形電気機関車やルーマニア国鉄（CFR）向けに輸出仕様が検討された記録が残っていますが、具体的な輸出実績については現時点では確認できていません。

まとめ

スウェーデン国鉄Rb形電気機関車は、様々な技術的試みと、輸出という野心的な目標を掲げて開発されたものの、試作段階で終わってしまった、いわば時代の転換期を象徴する車両と言えるでしょう。その技術的特徴や開発経緯は、後のスウェーデン国鉄の電気機関車開発に少なからず影響を与えたと考えられます。現在では、実車が確認できないため、資料や図面からの研究が今後の課題となっています。将来、新たな資料の発掘によって、より詳細な情報が明らかになることが期待されます。

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