スウェーデン国鉄T44形ディーゼル機関車

スウェーデン国鉄T44形ディーゼル機関車：多様な用途を担う力強い機械

スウェーデン国鉄（当時SJ）が開発したT44形ディーゼル機関車は、本線列車の牽引から、複雑な操車場での入換作業まで、幅広い用途に対応できる汎用性の高い機関車として知られています。その設計思想と運用状況、そして改良型であるTd形についても詳しく見ていきましょう。

設計と特徴

T43形をベースに設計されたT44形は、1968年から1987年にかけて製造されました。車体は、日本のDE10形ディーゼル機関車にも似たセミセンターキャブ式で、箱型形状が特徴的です。ボンネット部分には、視認性を高めるための切欠きが設けられています。初期の塗装は黒とオレンジ色でしたが、民営化後にグリーン・カーゴに所属した車両は、青や緑など、多様なカラーリングに彩られています。

心臓部であるエンジンには、ゼネラルモーターズ製のV型12気筒2ストロークディーゼルエンジンを搭載。このエンジンで発電機を駆動し、その電力でモーターを回転させる電気式ディーゼル機関車です。一部の車両は無線操縦に対応しており、操車場での精密な入換作業に活躍しました。

運用と改良

T44形は、登場以来、主に貨物列車の牽引に用いられ、旅客列車牽引は限定的でした。1990年代には一部車両が地方の鉄道会社に売却され、ローカル線などで活躍しました。T43形の置き換えにも貢献しています。現在でも、貨物列車の牽引と貨車の入換作業が主な運用となっています。

2007年、グリーン・カーゴは、保有するT44形100両について、延命と環境性能向上を目的とした大規模な更新工事を発表しました。デンマークのボンバルディア・トランスポーテーション社の工場で実施されたこの工事では、同社のTRAXX機関車の技術が活用され、エンジンはMTU製V型12気筒4ストロークエンジンに換装されました。この変更により、二酸化炭素排出量を20～75％削減することに成功しました。さらに、外装も変更され、更新された車両はTd形として再分類されました。

輸出と影響

T44形は、スウェーデン国内のみならず、ノルウェーやイスラエルなどにも輸出されており、その信頼性の高さがうかがえます。ノルウェー国鉄ではDi7形として運用されています。

まとめ

スウェーデン国鉄T44形ディーゼル機関車は、その高い汎用性と信頼性から、長年に渡りスウェーデンの鉄道輸送を支えてきました。改良型であるTd形への更新も進められ、環境性能の向上も図られています。今後も、貨物輸送の主力として、その活躍が期待される機関車です。T44形、そしてその系譜を受け継ぐTd形は、スウェーデンの鉄道史に重要な足跡を残したと言えるでしょう。 様々な国で活躍したその姿は、ディーゼル機関車の進化の歴史を語る上で、欠かせない存在となっています。

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