スウェーデン民主党

スウェーデン民主党：反移民、反多文化主義を掲げる右派政党の台頭

スウェーデン民主党(Sverigedemokraterna, SD)は、スウェーデンにおける右派政党であり、近年、その支持を大きく拡大させている勢力です。2022年の総選挙では、得票率18%で73議席を獲得、穏健党を抜いて第2党に躍進しました。この結果、中道左派の与党連合が過半数を確保できず、中道右派による新政権樹立につながる大きな要因となりました。しかし、スウェーデン民主党自身は連立政権には参加せず、閣外協力の形で新政権を支える立場を取っています。

党の起源とイデオロギー

スウェーデン民主党の起源は、1990年代初頭のスウェーデンにおける白人至上主義運動にまで遡ります。初期には極右的な主張を展開していましたが、近年は路線変更を図り、公にはファシズムやナチズムを否定しています。

しかしながら、外部からは依然として右派ポピュリズム、国家保守、反移民政党と見なされており、そのイデオロギーには、反移民、反多文化主義といった要素が色濃く反映されています。具体的には、イスラム系移民や難民の増加、それに伴う犯罪問題を主要な争点として掲げ、彼らの祖国への帰還支援や、多文化主義への反対を訴えています。

近年では、スウェーデン社会に同化しないイスラム系移民・難民、彼らによる犯罪の多発問題を批判し、多文化主義への反対を明確に打ち出しています。スウェーデン社会における犯罪問題を巡っては、犯罪防止国民会議の統計が示すように、過去にイスラム系移民が少なかった時代と比較して、近年の犯罪やテロの増加、格差の拡大が、スウェーデン民主党の支持拡大に繋がっている側面があると指摘されています。

一方で、宗教過激主義や女性の抑圧といった問題を批判し、世俗的な価値観を持つ非白人の外国ルーツの人々からも支持を集めているという側面も存在します。

近年の動向と選挙結果

2005年以降、スウェーデン民主党は機関紙を発行するなど組織的な活動を展開しています。2010年の総選挙で初めて国政に進出し、以降は支持率を伸ばし続けています。

2005年のユランズ・ポステン紙によるムハンマッド風刺漫画掲載問題では、同紙を支持する声明を発表し、政府による検閲問題にも発展しました。

近年では、党首であるジミー・オーケソンは、年金受給時のイスラム系移民女性による押しのけ行為などを政見放送で流すなど、高齢者層や若者層への支持拡大を図っています。また、「税金を納めない移民のただ乗りを認めれば社会福祉制度は崩壊する」という主張も展開しています。

2010年の総選挙で20議席を獲得して国政進出を果たして以降、2014年には49議席、2018年には63議席と議席数を増やし続け、2022年の総選挙では73議席を獲得し、第2党に躍進しました。この結果、中道右派陣営が過半数を獲得し、中道左派の与党連合を破る結果となっています。

政策

スウェーデン民主党の政策は、移民受け入れの制限、多文化主義への反対、伝統的なスウェーデン文化の維持などを中心に据えています。また、高齢者への減税、トルコのEU加盟反対、EU離脱なども主張しています。サーミ人の権利拡大にも反対の立場を取っています。

まとめ

スウェーデン民主党は、反移民、反多文化主義を掲げる右派政党として、スウェーデンの政治において大きな影響力を持つようになりました。白人至上主義運動という暗い歴史を持つ一方、近年は路線変更を図り、支持層を広げています。彼らの台頭は、スウェーデン社会が抱える移民問題や社会不安などを反映していると言えるでしょう。今後の動向にも注目が必要です。

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