スギ科

スギ科（Taxodiaceae）は、裸子植物門マツ綱マツ目に属する植物群で、かつては独立した科として認識されていました。分布域は北米、東アジア、そしてオーストラリアのタスマニア島に及び、10属14～16種が確認されています。しかし、近年の分類学的研究により、スギ科はヒノキ科（Cupressaceae）に統合される傾向が強まっています。現在では、スギ科の植物はヒノキ科内のスギ亜科（Taxodioideae）として分類されることが一般的です。

スギ科の変遷

スギ科は、かつてコウヤマキ（Sciadopitys verticillata）も包含していましたが、現在ではコウヤマキは独立したコウヤマキ科（Sciadopityaceae）に分類されています。スギ科の7属は単型、つまり各属に1種のみが属する属です。

スギ科の分類

以下に、スギ科（旧分類）に属していた各属と代表的な種を示します。

アスロタクシス属（Athrotaxis）
A. cupressoides
A. laxifolia
A. selaginoides
スギ属（Cryptomeria）
スギ（C. japonica）
コウヨウザン属（Cunninghamia）
コウヨウザン（C. lanceolata）
C. chaneyi
スイショウ属（Glyptostrobus）
ヌマスギ属（Taxodium）
T. ascendens
ラクウショウ（T. distichum）
T. mucronatum
メタセコイア属（Metasequoia）
メタセコイア（Metasequoia glyptostroboides）
セコイア属（Sequoia）
セコイア（Sequoia sempervirens）
セコイアデンドロン属（Sequoiadendron）
セコイアデンドロン（Sequoiadendron giganteum）
タイワニア属（Taiwania）
タイワン[スギ]

これらの属は、現在ではヒノキ科のスギ亜科に統合されるか、独立した科として扱われています。

スギ亜科（Taxodioideae）

ヒノキ科に統合された後のスギ亜科は、以下の属を含みます。

ヌマスギ属（Taxodium）
ヌマスギ／ラクウショウ（Taxodium distichum）
スイショウ属（Glyptostrobus）
スイショウ（Glyptostrobus pensilis）
スギ属（Cryptomeria）
スギ（Cryptomeria japonica）

花粉症との関連

スギ科植物の花粉は、ヒトにアレルギーを引き起こすことで知られています。特に日本では、スギの花粉が原因となる花粉症が社会問題となっており、毎年多くの人々が開花期に症状に苦しんでいます。スギ花粉症は、鼻水、鼻詰まり、くしゃみ、目の痒みなどの症状を引き起こし、日常生活に大きな影響を与えます。

スギ科の植物は、その美しい姿から観賞用として栽培されることもありますが、花粉症の原因となるため、特に日本では注意が必要です。今後の研究により、花粉症のメカニズム解明や治療法の開発が進むことが期待されます。

このテキストでは、スギ科植物の分類、変遷、そして花粉症との関連について解説しました。スギ科の植物は、その歴史や生態において興味深い側面を持ち、分類学の進歩とともにその位置づけも変化してきました。花粉症という観点からも、私たちの生活に密接に関わっている植物群であると言えるでしょう。

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