スクラロース

スクラロース：安全で甘く、広く使われる人工甘味料

スクラロースは、砂糖よりもはるかに甘い人工甘味料です。1976年にイギリスで開発され、現在では世界中で広く使用されています。その甘さは砂糖の約600倍にも及び、後味もすっきりとしており、砂糖に似たまろやかな甘みを持つと評価されています。

スクラロースの特徴

甘味と安全性

スクラロースは、サッカリンやステビアといった他の高甘味度甘味料と異なり、苦味や渋みがほとんどありません。これは、官能試験においても確認されています。また、砂糖と同様に、他の甘味料と併用することで甘味を増強する効果も期待できます。このため、清涼飲料水やアイスクリームなど、様々な食品や飲料に利用されています。

さらに、スクラロースには、甘味以外の効果も期待できます。例えば、酢の酸味や塩辛さを和らげる効果、豆乳の豆臭さを軽減する効果、アルコールの刺激を弱める効果などです。微量添加することで、辛みやコク、深みなどを増強する効果も確認されています。

スクラロースは、砂糖と異なり、体内で炭水化物として消化・吸収されません。そのため、カロリーゼロであり、虫歯の原因にもなりません。また、親水性が高いため、体内での蓄積や生物濃縮の危険性は低いとされています。摂取されたスクラロースは、ほぼ100％が24時間以内に代謝・分解されることなく排泄されます。

化学的性質と安定性

スクラロースの化学式はC₁₂H₁₉Cl₃O₈、分子量は397.64です。水に非常に溶けやすく、20℃の水では283g/Lも溶解します。また、熱、酸、光に対しても安定しており、一般的な食品加工工程では安定した性質を示します。

ただし、極端な高温や低pH環境下では分解し、危険な有機塩素化合物を生成する可能性があることが分かっています。しかしながら、一般的な調理環境や使用量においては、そのような物質が多量に生成する可能性は低いとされています。

安全性に関する懸念

スクラロースは、3つの塩素原子を含む有機塩素化合物であるため、ダイオキシンやDDTなどの有害な有機塩素化合物との類似性から、危険性を指摘する声もあります。しかし、スクラロースはそれらとは異なり、多くのヒドロキシ基を持つため親水性が高く、体内に蓄積されにくい性質を持っています。

動物実験においても、発がん性、催奇性、遺伝毒性などは認められていません。また、多くの国で食品添加物として認可されており、その安全性は広く認められています。ただし、マウスを用いた高用量摂取実験では、T細胞の応答の低下が見られたという報告もあります。

スクラロースの生産と使用

スクラロースは、砂糖のヒドロキシ基を塩素で置換することにより生産されます。1991年にカナダで食品への使用が初めて認可され、その後、アメリカ、ヨーロッパ、日本など、世界80カ国以上で認可されています。

日本においては1999年に食品添加物として指定され、使用基準と成分規格が定められています。しかし、日本ではスクラロース単体での一般消費者への直接販売は行われておらず、主に食品加工会社や製薬会社などが利用しています。一方、海外では、スプレンダなどの商品名で一般消費者向けに販売されています。

まとめ

スクラロースは、安全で甘く、広く使われている人工甘味料です。多くの国で認可され、食品や飲料に広く利用されていますが、高濃度摂取や極端な環境下での使用については注意が必要です。今後、さらなる研究によって、その安全性と有用性がより明確になることが期待されます。

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