スクリューミル

スクリューミルは、北欧神話に登場する並外れて大きな巨人であり、特に『スノッリのエッダ』の第一部『ギュルヴィたぶらかし』の第45章で重要な役割を果たします。彼は、雷神トールとその仲間たちがウートガルズへの冒険の旅の途中で出会うことになります。

スクリューミルの登場

トール、ロキ、そしてトールの従者であるシャールヴィは、巨人族の住む地、ウートガルズを目指して旅をしていました。道中、彼らは巨大な人物、スクリューミルと出会います。スクリューミルは非常に友好的で、一行に同行を申し出ました。トールたちは彼の申し出を受け入れ、共に旅をすることになります。

夜になると、スクリューミルはトールたちに食料が入った袋を預け、自身は眠ってしまいます。しかし、トールが袋を開けようとしても、どうしても開けることができません。彼は怪力で知られるトールでさえ、スクリューミルの袋の紐を解くことができなかったのです。トールは苛立ち、眠っているスクリューミルをハンマーで打ち倒そうとします。しかし、スクリューミルはまるで何も感じていないかのように、眠り続けます。彼はただ、「何かが落ちてきたか？」と寝言を言うだけでした。

翌日、トールは再びスクリューミルを打ち倒そうと試みますが、結果は同じでした。スクリューミルは全く動じず、トールを嘲笑うかのような態度を取ります。トールは、この巨人がただ者ではないことを感じ始めます。

スクリューミルの正体

実は、スクリューミルはウートガルズの王、ウートガルザ・ロキが変装した姿でした。ウートガルザ・ロキは、トールの力を試すために、スクリューミルに変身してトールたちを待ち構えていたのです。ウートガルザ・ロキは、トールたちがウートガルズに到着すると、彼らに様々な試練を与えます。これらの試練は全て、ウートガルザ・ロキの魔法によって仕組まれたもので、トールたちは本来の力を発揮することができませんでした。

スクリューミル（ウートガルザ・ロキ）は、トールたちの旅を影から操り、彼らの力を試すことで、巨人族の優位性を示そうとしたのです。

参考文献

V.G.ネッケル他編 『エッダ 古代北欧歌謡集』谷口幸男訳、新潮社、1973年、ISBN 978-4103137016

関連項目

北欧神話

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