スノッリのエッダ

スノッリのエッダ：北欧[[神話]]の礎を築いた一冊

『スノッリのエッダ』（古ノルド語: Snorra Edda）は、13世紀初頭、アイスランドの傑出した詩人スノッリ・ストゥルルソンによって著された北欧[[神話]]の教本です。1220年代に執筆されたと推定されており、当時、若手詩人たちへの教育を目的として編纂されました。

この書物は、北欧[[神話]]、ひいてはゲルマン[[神話]]の理解において極めて重要な役割を果たしています。なぜなら、『スノッリのエッダ』は、体系的に北欧[[神話]]を解説しているだけでなく、現在では失われた古エッダ（古北欧歌謡集）やスカルド[[詩]]（古代北欧の宮廷詩）の断片を数多く含んでいるからです。これらの断片は、現代人が北欧[[神話]]の全貌を理解する上で、決定的な役割を果たしています。事実、『スノッリのエッダ』が存在しなければ、北欧[[神話]]を現代に復元することはほとんど不可能と言えるでしょう。

元々は単に『エッダ』と呼ばれていましたが、『スノッリのエッダ』と名付けられたのは、のちに、この作品に収録されている歌謡の形式もエッダと呼ばれるようになったため、区別する必要が生じたためです。他の呼び名としては、『新エッダ』や『散文のエッダ』などがあります。

『エッダ』という書名と、スノッリ・ストゥルルソンが著者であるという事実は、『エッダ』の写本の一つである『ウプサラ写本』の記述に基づいています。

エッダの内容：三部構成の体系的な解説

『スノッリのエッダ』は、序文と3つの独立した部分から構成されています。

1. 序文: スノッリ自身の神話観が述べられていますが、キリスト教の影響や、オーディンをトロイア出身の人間とするエウヘメロスの解釈（神話を歴史的事実として解釈する手法）も見られます。ただし、この序文が本当にスノッリ自身の手によるものかどうかについては、議論の余地があります。

2. ギュルヴィたぶらかし (Gylfaginning): 魔術王ギュルヴィが変装して神々の住むアースガルズを訪れ、オーディン神をはじめとする神々から、世界の創造、人間の起源、神々の系譜、そして終末の戦いラグナロクなど、古代の伝承や予言を聞かされるという物語形式です。古エッダや民間の伝承を基に、北欧[[神話]]の主要な物語が簡潔にまとめられています。

3. 詩語法 (Skáldskaparmál): 詩の神ブラギがエーギル神に詩作の技法を説明するという形式で、スカルド[[詩]]のテクニックが解説されています。若手詩人育成のための書物であり、過去の詩の引用やケニング（複合名詞を用いた比喩表現）などの技法が詳しく解説されています。興味深いことに、神話の挿話もいくつか含まれており、神話研究の資料としても重要です。

4. 韻律一覧 (Háttatal): スノッリ自身によって作られた詩で、さまざまな詩形が用いられています。ノルウェー王ホーコン4世とスクーリ公への献辞として書かれたと考えられており、102連の各連が異なる韻律と詩形で書かれていることから、スノッリの詩人としての才能も伺えます。

エッダの写本：現存する写本とデジタル化

現在、いくつかの写本が『スノッリのエッダ』として現存しています。最も古いものは1300年頃成立の『ウプサラ写本』、保存状態が良いものは1325年頃成立の『王の写本』などです。その他、ヴォルム写本、ユトレヒト写本などがあります。これらの写本は、世界各地の図書館に所蔵されており、近年はデジタル化も進められています。これにより、世界中の研究者が容易にアクセスできるようになっています。

エッダの翻訳と研究

『スノッリのエッダ』は、古ノルド語で書かれており、日本語を含む多くの言語に翻訳されています。代表的な日本語訳としては、谷口幸男氏による翻訳があります。また、英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語など、多くの言語への翻訳も存在し、世界中で研究されています。

まとめ

『スノッリのエッダ』は、北欧[[神話]]研究において極めて重要な文献であり、その内容の豊富さ、体系性、そして詩人としてのスノッリの卓越した才能を伝える貴重な書物です。様々な言語への翻訳、デジタル化の進展によって、現代においても世界中の研究者や愛好家から広く研究、読まれ続けています。現代における北欧[[神話]]研究の礎を築いたといっても過言ではありません。

もう一度検索