スクレイピー

スクレイピーについて

スクレイピー（英：scrapie）は、主にヒツジやヤギに見られる神経系に影響を与える致死的な変性疾患です。この病気は、伝達性海綿状脳症（TSE）の一つとして分類され、他のTSEには牛海綿状脳症（BSE）や慢性消耗病（CWD）などがあります。スクレイピーの原因としては、プリオンという異常なタンパク質が関与していると考えられています。この病気は1732年から知られており、現在ではヒトに伝染するリスクはないとされています。

症状

スクレイピーに感染した動物は、特有の症状を示します。この病名は、発病したヒツジやヤギが、毛を岩や樹木、塀にこすりつける様子に由来しています。この行動は、動物が強いかゆみを感じていることを表しています。さらに、舌を打つような動作や、不規則な歩行、急激な体重減少なども見られる症状です。これらの症状は病気が進行するにつれて悪化し、最終的には命を奪います。

検査方法

スクレイピーの診断には、その動物のハーダー腺からリンパ組織を採取することが一般的です。検査には、ウェスタンブロット法を用いた構成タンパク質の検出や、抗プリオンタンパク質抗体を用いた免疫組織染色、ELISA（酵素結合免疫吸着法）が活用されます。

治療と処置

現在、スクレイピーに対する有効な治療法は見つかっておらず、感染が確認された場合には、感染を防ぐために直ちに隔離および殺処分が行われます。この病気は同種動物間での高度な感染性があり、これまでに直面したことのない環境でも自然に発生することがあります。伝染の具体的なメカニズムやこの病気の生物学は、いまだ完全には解明されておらず、様々な研究が行われています。

対策と予防

イギリスでは、スクレイピーに対して遺伝的な抵抗力を有するヒツジの繁殖を進める国家計画（National Scrapie Plan）が実施されています。この取り組みは、ヒツジのスクレイピー発生を実質的に減少させることを目的としています。現在、ヨーロッパや北アメリカではスクレイピーが見られますが、オーストラリアやニュージーランドといったヒツジ生産国では確認されていません。

また、スクレイピーのリスクを考慮し、多くの欧州諸国では、脊髄を除去していないヒツジやヤギの伝統料理の提供を禁止しています。例えば、ノルウェーのスマラホブ（羊の頭を使った料理）や燻製食品などはその対象となります。

関連項目

• - プリオン
• - 牛海綿状脳症
• - クロイツフェルト・ヤコブ病
• - 獣医学
• - クールー病

スクレイピーは、動物の命に関わる重大な病気であるため、早期の発見と適切な対策が不可欠です。

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