スケネクタディー (タンカー)

スケネクタディー（SS Schenectady）

スケネクタディーは、アメリカ合衆国で第二次世界大戦中に建造されたT2-SE-A1型のタンカーです。この船は、アメリカ連邦海事委員会の発注に基づき、オレゴン州ポートランドのスワン島にあるカイザー造船所で建設されました。1942年7月1日に起工し、同年10月24日に船体が完成、そして1942年12月31日には予定よりも早く完成を迎えました。

破断事故の経緯

1943年1月16日、スケネクタディーは初の試験航海から戻った直後、穏やかな天候の中でスワン島の岸壁に係留されていました。突然、何の前触れもなく船体の上部構造が後方から真っ二つに破断しました。この衝撃音は、少なくとも1マイル離れた場所でも明瞭に聞こえたと言われています。船体に生じた亀裂は両舷からキールに迫り、船体は水上において弓なりに折れ曲がり、船尾が沈下しました。結果として船底の鋼板だけが原型を留める状態となりました。

この事故は、戦時中に建造されたリバティ船において最初の破断事故ではありませんでしたが、ポートランドの全景を一望できる場所での出来事として広く報道され、多くの人々の知るところとなりました。当時は破壊力学が未発達であり、事故原因の解明は難航しました。沿岸警備隊の調査報告では、溶接ミスによる欠陥が主な要因とされましたが、その後の調査では応力集中や環境の急変、設計上の問題など多くの要素が検討されました。最終的には、低級鋼が原因とされる脆性破壊の可能性が示唆され、これがすべての要因を説明できないまでも、重要な要素であることが確認されました。

修理とその後の運航

スケネクタディーは事故後、修理を受けて1943年4月に再び軍務に就きました。その後の具体的な運行記録は不明ですが、1944年6月10日にはカリフォルニアから石油タンカーとして航行していたことがわかっています。1945年までに、オーストラリア、ペルシャ湾、ニュージーランド等の航海を経て、マーシャル諸島やウルシー環礁の戦闘にも参加しました。最終的には1945年5月20日にパナマ運河を経由してサン・ペドロに帰港しました。

戦後の1946年7月、スケネクタディーの船籍は運輸省海事局国防予備船隊に移管され、その後1948年にトリエステのDiodato Tripcovich船会社に売却、改名されました。1962年には解体され、その歴史に幕を閉じました。スケネクタディーは、多くの困難を乗り越えた歴史的な船として、今なお記憶にその名を留めています。

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